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涼の風吹く放課後 お試し版

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 涼がニコニコとして問いかけてくる。正直、味よりも、涼と間接的な接触をしたことで心が一杯なのだけど、そんな気持ちを説明できようもない。
「うん、美味しい。他のも、食べてみていいかな。」
「うん、食べたいものからどうぞ。」
 涼が差し出してきたタルトの皿と、俺のほうのタルトの皿をテーブルの真ん中あたりに置いて、俺と涼はかわるがわるに半分に切られたタルトを食べていった。
「ん〜、ホント美味しい!」
 涼は本当に嬉しそうに食べている。ほんと、これだとお菓子好きの女の子と変わらないな…。いや、いまどき自分でお菓子を作る女の子のほうが珍しいかもしれない。下手したら、涼は普通の女の子より女の子らしいのかも…。
 ひょっとして、これはデートなのかもしれない、と、このとき初めて思った。そうか、デートだとしたら、今こうして俺の心臓がこんなにもドキドキしているのも無理のない話だ。もっとも、その相手は男の子の格好をした普通の男の子なのだけど。ただ、その顔かたちはとてもかわいらしく整っていて、柔和で、そしていま、とても幸せそうだ。たとえデートだとしても、それで何か問題があるのか、いや、何もない、そんな気すらしてしまう。
「勇、どうしたの?」
 一人でデートを意識し顔を紅潮させている俺の不審さに気付いた涼が声をかけてくる。
「なんでもない、いや、こういう店に来ることって今までなかったから、照れちゃって…。」
「ふうん、案外地味な青春を過ごしてるんだねぇ…。」
「まぁな。」
「僕も同じだよ。これからは、僕たち二人でイロんなとこ行けばいいよ。」
「え? い、いいのか?」
 ひょっとして、涼は俺たちがカップルとして付き合うことを考えてるんじゃないか、という妙な期待感が沸きだす。
「いいもなにも、友達だろ?」
 友達以上に一歩踏み出してる気がするけどな…。
「そう、友達だね、友達…。」
 俺がそう答えると、涼はニッコリと俺に微笑みをくれる。
「それより、あとの残りは、勇の分だよ。全部食べちゃってね。」
「あ、ああ。」
「それにしても、どれを作ろうかなぁ…。」
「え? この店のタルトと同じものを作るの?」
「完全に同じってわけじゃないけど、参考にして、適当にアレンジして作ると思うよ。」
「あの、ショーケースに入ってるホールサイズのタルトを作るの?」
「うん。」
 涼はこともなげに言う。