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涼の風吹く放課後 お試し版

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 涼が決心を打ち明けてから二日が過ぎた放課後、涼はいつもの神社に俺を呼び出した。

「ねぇ、勇…。笑わないで聞いてほしいんだけど、いいかな?」
 放課後ほぼ毎日のように涼と落ち合っている神社で、涼は、ようやく重い口を開いたという感じで、俺に問いかけた。
「ああ、笑ったりしない。どうした?」
 俺は気楽さを装って受けこたえるが、涼の様子がそもそも普段とは違うのだから、我ながら白々しく感じた。今日は一昨日と同じように学生服のままの姿だが、一昨日とは違ってそのまま練習していたりなどせず、そして肩から大きなバッグを下げていた。
「あのね、アイドルを目指す件なんだけど。律子ねえちゃんに事務所を紹介してもらって、そこで一応、OKをもらえたんだ…。」
 俺は、本当にびっくりし、そのびっくりした勢いに任せて涼の両肩を両手で掴みながら口を開いた。
「えぇ?! OKってことはアイドルデビューできるってことか? 凄いじゃないか! やっぱ涼は凄いなぁ。俺が見込んだだけのことはあるよ。素晴らしい!」
 つい、腕に力が入って、涼の肩を揺すり気味にしてしまったかもしれない。涼がいつものように少し怖じ気づいているように見えたので、こうして力を込めてやれば安心するかも、とも思ったのだけど。涼が不安そうだったのは、怖じ気づいたとかそういうことではなかった。
「それがね、勇…。デビューのOKをもらえたのは、その…。実は、女性アイドルとして、なんだ…。」
「あっ…。」
 虚を突かれたような声を上げて、絶句してしまった。この時の俺は、ただただ純粋に驚きの気持ちと、反面、非常に納得のいくような気持ちとが、心の中で奇妙に融合していた。そして、その納得してしまった気持ちを涼に悟られないようにするだけで精一杯だった。

 涼は、「あっ…。」と声を漏らした俺の、その続きの言葉をそのままじっと待っていた。涼としても随分恥ずかしい思いをした告白だろう、それなのに…。自分が情けなくなる。
 そう、実は涼は、俺よりずっと度胸がある。俺に相談を持ちかけて来てはいるが、涼自身の出した答えは明白だ。肩からかけた大きなバッグには、おそらくレッスン用具が入っているのだろう。芸能事務所に所属してデビューを目指すなら、こんな場所でトレーニングする必要はない。
「それで、決心は決まってるんだろ?」
 涼に聞いてみる。