涼の風吹く放課後 お試し版
しかし、涼には言えないことだけれど、涼の背中に見えた翼が俺には気になって仕方がなかった。涼が女性アイドルとして、どこまで高みに行けるのか。涼の背中の翼は、どの高さまで保ち続けられるのか。たとえ俺が涼を見守り続けたいと思っても、もうすぐにでも、俺の手の届かない高みに行ってしまうのではないか。そんな不安をかき消そうとばかりに俺は、その時まさに俺の後ろで女物の服と格闘している涼の存在を背中で感じながら、この四月に涼と出会ってからのことを回想し始めた。
作品名:涼の風吹く放課後 お試し版 作家名:みにもみ。