グッバイ・アーリーバード
「だが時と場合によって意外と使えるものなんだよ、これが」
ダメだ、聞いちゃいねぇ・・・!
そんな趣味はない、と叫ぶタイミングすら外された。
というか、人が鳥肌もののダメージを喰らったというのに、男は特に気にした風もなく涼しい顔。幸い車中の人間はそれぞれの話に華を咲かせていて、こちらにまったく注目していないのがせめてもの救いか。
だが、カクリと顔を伏せてしまったお陰で、ハボックは彼の唇が少しだけ緩い弧を描いた事に気付かなかった。
そして躍起になって否定しつつ、ぐだぐだ話をしている間に、車両の端の扉の向こうから車掌が登場し、イーストシティへの到着時間を高らかに告げ――――そして、話は冒頭に戻る。
作品名:グッバイ・アーリーバード 作家名:みとなんこ@紺