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みとなんこ@紺
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グッバイ・アーリーバード

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ふ、と。我に返った時には既に列車は走り始めた後だった。
単調に繰り返す、レールの継ぎ目を車輪が這う音に耳を澄ます。
のろのろと視線を対面に向けた。
彼は最初から誰もいなかったかのように何も残さなかった。
ただ、言葉だけが妙に意識に残る。



『――――ごめんなさい』



目を閉じれば、あの嵐が通り過ぎるまで見ていた夢の残滓が蘇る。



『どうして。
どうして、貴方が軍人なんだろう・・・』



・・・守れると思ってたんだ。
昔から身体も大きかったし、頑丈だったし。だから軍に入った。守れるんだと思っていた。
守るのが当然だと思ってたんだ。だから、背を向けた。



『――――・・・軍がすべてを奪った。だから、私は・・・』



あの時の、背を焼く痛みをまだ憶えている。






『軍を辞めようとは思わなかったのかね』

流れていく景色をぼんやりと視界に置いたまま、ハボックは強張った身体を弛緩させて、深く息を付いた。
ろくに吸いもしないまま、ほとんどが灰になってしまっていた煙草を乱暴にもみ消す。

「・・・辞めるも何も、まだはじまってもいないんスよ」

だから来た。
呼吸をして、外を見ろ。そう言ってくれた人に、笑って返せる答えを探したかったから。
今更答えても、彼にはもう届かないが。









「・・・だっせぇなぁ、俺・・・」