acoustic stories / 紅花
side:Flynn
書類を提出し、退出しようとするまでは良かった。
「これから、でしょうか」
「そうに決まっているだろう」
すこぶる機嫌の良かった上官はすかさず聞き返されたことに驚いたらしく、提出されたばかりの書類に落としていた視線を上げ、不思議なものを見るような目つきで新入りながらも有能な部下を見る。
「君は初めての任務だったか?」
上官が彼に言いつけたのは、帝都内の特別巡回だった。
名誉な任務だ。
―――――名目上、は。
作品名:acoustic stories / 紅花 作家名:toro@ハチ