Aの憂鬱
歌一首毎日もらって夜にお勉強。辞書引き引き解説を聞く。教える方は嬉しそう。
「何でそんなに嬉しそうなんだよ。」
「自分で書いたものが実現するのは感慨深いものがある。」
「勉強見てたな。」押しがけ家庭教師。
唐突に「可愛い…。」と言われる。
「何が?」
「文句言いながら真面目に勉強しているところが。」
子供の頃を想像してるな…。
今更フィルターのかかった頭に文句言っても仕方ない。
「何書いてあるが気になるから。」
いちいち調べないとわからない。
「これだけだとなんかの暗号みたいだ。」
そう思えば興味深いけど
「恋の歌以外に無いのか?」
「圧倒的に多い。」
少なくてもあるんだな。
自分で調べた方がいいか。寄こすのはそればっかだろうから。
教えるのが気に入ってるようだから暫くはお勉強か…。
20分ぐらいだから我慢できるけど内容まで気が向かない。解説されてもそっかって感じ。おれ宛に書かれたものじゃないけど折角の歌が無駄な気がする。
なんでも恋に結びつける発想が凄いと思うけど。毎日寄こすやつの気が知れない…。
「恋の歌以外を教材にして欲しいぞ。」食傷気味。
「教える方がつまらない。」
「この状態であなたから歌もらってもなんも感じないぞ。きっと。」
嫌そうにほかの歌を探してる。
やたら長くて暗いのを持ち出す。嫌がらせが。
2・3日かけてお勉強。教える方が暗くなってる。自分で選んでて。
「悲惨だ。」
「貧乏って色々だがら。生活観のあるのは嫌いじゃない。」
恋愛より楽だ。
こんな地味なの嫌だとが言うがこっちの方が安心なする。
「でももっと短い方がいいぞ。こんなのとか。」と本を見せると「これか。」と言う。
「風景に心情を託すって方が好きだ。どうせならこれをじっくり読みたいんだけど。」
「きみはそう言うと思った。」
「嫌なら一人で読むがら気にするな。」
「地味なのもあるがあれの方が作るのが難しい。」
「本気で作る気なの?」
「折角きみが興味を持ったからぜひ作って贈りたいんだが…。」
「無理しなくてもいいよ。」短く簡潔ってのは苦手そうだ。
「そう言われると意地でも作りたくなる。」
「短く自体が苦手だろう?」
「得意ではないが…ごそこでストレス溜まると本末転倒。
「きみが付き合ってくれるなら何時か作れそうな気がする。」
「付き合うって?」勉強時間延ばされるのは嫌だぞ。
「参考のために好きなのを教えてくれ。」
「あなたが好きなように作ればいいだろう。」
「きみがどんなのがすきなのが知りたい。」
「おれの好みとあなたの好みは合わないと思うよ。」
「かまわない。」
「良いけど…。」
「では毎日一つ選んでくれ。」
「毎日なの?」
さっと見てぴんと来たのを選ぶだけだけど山のようにあるから結構大変。
直ぐにピンと来るのに会えるがどうかもある。お勉強時間は実質延長。
毎晩一つ選んで渡す。選ぶのに時間がかかる…おれが悩んで選んでる闇にシャアは作り方とか読んでる。
毎日「どの辺が好きなんだ?」と聞かれる。何となくだったり言葉に惹かれてだったりするのをそのまま言うが答えるのも結構負担で…その間例のものを書く方は止まってる様だ。良いんだが悪いんだが…
シャアは楽しそうにしてるがおれの方が根を上げる…。
眺めてる文字の意味が頭に入ってこない。本を閉じて目を瞑る。
「駄目…。」
「どうした?」
「頭が拒否してる。読んだ文字が意味を成さない。」
元々文系じゃないから疲れたかな…。
「根詰めすぎたか?」
「わからないけど…間を開けてほしい。」
今日はもう駄目だな。
「習慣付いたと思っていたのだが。」元々勉強は苦手だぞ。
「あなたは楽しそうだな。」
「その間は身を入れて相手してもらえるから。」
そんな理由かよ…力なく笑う。
「身を入れてってねぇ。」
「濃密な空間を築ける。」
そんなもんSEXだけで十分と思うがロに出せない。
同じぐらい疲れる。頭真っ白。
毎日一緒にいるのに何でそんなにくっつきたがるんだう。
「ちょっと2・3日休んでいいかな。」
「ではその間続きを書いてすごす。」
やっぱまだ書くのが…そうなるだろうとは思ってたけど。
勉強してたほうがましかな…出来れば他の選択肢が欲しかった。
「人のこと記憶喪失にして何が楽しいんだよ。」
「もし今きみが記憶をなくしたらどんな反応をするがなと。」
「そりゃ場所聞いて理由聞くだうな。」
「帰りたがるかな…。」うーん。
「何時の時点の記憶があるかによるぞ。」
「15だったらどうだろう。23なら?」
「さぁ?そんな事考えるのが楽しいの?」
「どう引き止めるのか考えるのが楽しい。」
思わず顔がへの字になる…。
「あなたのことを知らない頃ならどうするんだよ。」
「身体は覚えている。」
「病人相手に何やる気なんだよ。」
今から殴っておこうが…。
「忘れられたままなのは嫌だ。」あのなぁ。
「あなたが記憶喪失になれば。」
「ああ。それも面白そうだな。いざそうなったらきみは見捨てないだろう。」
見捨ててやりたい…きみなんか知らないと言われても面倒見るんだろうな。出て行けと言われたらそうするがも…。
つい真剣に考えてシャアの嬉しそうな顔に目がとまる。
「あーもう。仮想のことで頭使いたくないがらこの話は止め。」
「もう少し遊んでくれても良いだろうに。」
「殴りたくなるから嫌だよ。」
あまりのご機嫌のよさに脱力する。
「それよりあなたのハロ貸してよ。」
気分転換には機械いじりが一番。
「何がするのか?」
「定期メンテだよ。」
「中の情報は?」
「見ないよ。」
なんか怪しいがプライバシーは守ろう。
それにおれが見て楽しいものではなさそうだし。
むしろ破壊したくなるかもしれない。
それでは折角作ったハロが可哀想。使ってくれてよがったと思っておこう。
週末お勉強会は無し週変わりで違う教科も考えると言う事で再開。
今までは勢いで毎日やってたが頭働かなくなったのでインターバルが必要と言う事で納得させたがその代わり第2作の続きを書いてる。
嫌がらせもあるだろうが書きたいのを止めるとおれに負荷が多すぎるので諦めた。
どこかで発散してもらわないと身が持たない。
毎日べったりはちょっと嫌なので土曜日は出来るだけ庭の手伝いをするようにした。月一には教会に行く。
昼間放って置かれると文句を言うが月の半分やつは仕事にいってるし。
「自然に触れてないと感性が枯渇しそうなんだよ。詩だうろうが句だろうが反応しなくなってもいいの?」と言うと嫌々納得した。
進歩と言えるな…。
メンテが終ってハロを渡すとすく書斎にもって行って暫く出てこなかった。
怪しいがハロの基本機能には電話とかカメラとかプロジェクターとかあるので突っ込むと面倒なことになりそうな気がする。
知らないほうが平和なこともあるし。
「だから…おれに話の筋教えてくれなくていいから。」
「読んでくれないんだから粗訪くらい聞いてくれても良いだろう。」
「嫌だよ。」
「悩んでいるんだぞ。」
「好きに書けばいいだう。」
「15にしょうが23にしょうが。」
人の言うこと聞いちゃいないな…。
「〇歳にしてくれ。」
「それはもう書いたぞ。」
あ・そうか…。ちょっと違うと思うけど。