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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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そしてヒナタは約束の場所へ向かって行く。
ヒオウは一部始終を黙って見ていた後、ヒナタに言った。

「・・・ヒナタ。・・・僕はいつだって君と共にあるよ。君は君の信じる道を選び取るといいよ。僕はここで待っている。・・・信じているよ?」

・・・信じる・・・。

・・・いつの間にか別々の道を選んでいた僕とジョウイ。

彼はやはり約束の場所で待っていた。
ジョウイはハイランドの最後の王として決着をつけるつもりだ。一騎討ちを挑んできた。

・・・ジョウイ・・・。

なぜ君は城にいなかったの?
最後の王として僕と決着をつけるつもりなら、なぜ皆が命をかけて阻止しようとしたあの場所に・・・。

この地は・・・別々になってもまた会えるように約束した場所だろ・・・?

なぜ・・・なぜここで君と決着をつけなければならないんだ。

彼と戦わないで・・・ナナミの残した最後の言葉が胸に去来する。

共に行こう・・・ヒオウのくれた言葉が次によぎる。


・・・ああ・・・。
ごめんね、ナナミ。
ごめんね・・・ジョウイ・・・。
・・・僕は・・・。

「ヒナタ・・・。どのみち僕には残された時間はもう、なかった・・・。・・・力を・・・使いすぎた。僕はもうだめだったんだ・・・。だからせめて・・・。ごめん・・・。酷いことを言うようだが・・・君の手で終わりたかったんだ・・・。そして君にとっては酷い事かもしれない、けど、僕の分まで・・・生きて、欲しい・・・。・」

っ・・・ジョウイ・・・。
僕こそごめん・・・。

あの呪文のようなヒオウの言葉・・・僕の欲していた言霊・・・僕はすでにそれに囚われていたから・・・。


分かっていた。彼がどんなつもりで言ったか、どんなつもりで僕に協力してくれていたか。

彼は出会ったあの時からずっと僕に1つの道を暗に示し続けていた。
僕は最初から明確にこの結果が分かっていた訳じゃないけど、でもこうなることはどこかで分かっていたんだと思う。

それでも僕は囚われてしまった。
いや、この言い方は卑怯だね?

僕が、囚われたかったんだ。

すでに事切れているジョウイを抱きしめたままヒナタは懺悔のように呟き涙していた。

ヒナタの右手には今や”始まりの紋章”が輝いていた。