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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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「・・・うっわー・・・またうつ伏せ寝だ。よくこれで寝れるよな・・・。息どうやってしてんのかな。」

ヒオウはよくうつ伏せ寝をしている。
最初の頃は生きているか心配になったくらいだ。
まだ眠っている様子のヒオウに近づいた。

ヒオウは外出先では眠りが浅く、少しの物音でもよく目覚めていた。
だがヒナタの部屋とこの自分の家でだけはいつもぐっすり眠っていた。

「ヒオウー?起きろー、朝だよー?」

普通に声を掛けてみる。

案の定起きなかった。
普段の反動か、ほんとぐっすりと眠るよな、とヒナタは更に近づいて思った。

ここが宿なら、多分自分がノックする前から何らかの気配を感じ取って起きていただろう。
なんだろう、スイッチみたいなもんでもあんのかな。

どうやって起こしたら面白いかな、と考えてみた。
耳元で叫ぶ?
くすぐる?
何か大きな音を立てる?

うーん、と思いつつ、起きないヒオウの布団をめくってみる。ってマジでスイッチみたいなもんあったりして?

「・・・ヒナタ・・・?」

ピラッとヒオウの上着をめくってみたヒナタを、いつの間にやら顔だけ横にしていたヒオウがボンヤリと見ていた。

「あ、起きた。」
「・・・え?・・・あれ?ほんとに?」

ガバッとヒオウが起き上がった。
ムーと目をこすってまたヒナタを見た。

「あれ?ここ、僕の家だよね・・・?あれ?ヒナタ、どうしたの!?」
「あは、ヒオウもびっくりしてるー。」

ヒオウが着替えている横でヒナタはグレミオに説明した事を繰り返した。

「そうだったんだー。じゃあ今日はここでゆっくりして、泊まってけば?あ、改めておはよう、ヒナタ。」
「うん、おはよ、ヒオウ。そうだね、泊まってこかな。久しぶりにグレミオさんの手料理いっぱい食べたいし。」

2人は喋りながら1階へ下りてきた。

「坊ちゃんようやくお目覚めですかー?」
「うん、おはようグレミオ。ヒナタに襲われるところだったよ。」
「何言ってんだよ。」
「だって僕の服脱がそうとしてたじゃない。」
「ちゃうわバカ。あれはスイッチがあるかもってー。」
「・・・いやいやバカはそっちでしょ・・・?スイッチて、何・・・?」

グレミオはたわいない2人の会話をニコニコしながら見ていた。

いつ頃からか、どういった事にも執着心を持てなかった坊ちゃんが唯一関心を持ったという事にとても喜んでいた。
グレミオからすれば、それがどういった執着だとしても、本当に嬉しく思えたはずだった。