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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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傀儡



午前も遅い時間。

今日はヒナタくんの為にごちそうを作りましょうと張り切っているグレミオの代わりに買い物に2人は出ていた。

「普段は僕が買い物行くと言っても行かせないくせに・・・。」
「それはヒオウが頼んだものをまともに買ってこれないからだろ。」
「だってどこに何売ってるかなんて分からないからね。防具だとかそういうものは分かるんだけど。」
「・・・それでよく買い物に行ってあげようって言えるよ。」
「大切なのは気持ちでしょ?」
「気持ちだけで何でも片付くと思ったら大間違いだからな。」
「うわ、ヒナタ可愛くない。」
「・・・可愛くなくて結構。ほら、次野菜買うから。」

2人はとりとめのない会話をしながら必要なものを買っていく。

「ただいまあ。」
「おかえりなさい、お2人とも、昼ごはんの準備できてますよ。昼は簡単にサンドイッチやらスープやらにしました。」
「やったあ、グレミオさんのごはんっ。」

ヒナタはニコニコしながら次から次へと平らげていった。

「相変わらずヒナタくんは沢山食べてくれるから作り甲斐がありますね。坊ちゃんは少食ですからねえ。」
「・・・僕は普通だよ。ヒナタと一緒にしないでくれる?ヒナタが食べすぎなんだよ。どこにいくんだろうねえ食べたもの・・・。」

小柄でやせているヒナタが次々に消化していく食物の量を見ながらヒオウが呆れたように言った。

「うるふぁいな。もぐもぐ・・・。・・・僕はその分動いたりしてるから大丈夫なんだよ。人間、基本欲に素直じゃないとだめなんだからな。えーとほら、三大欲っていうだろ?睡眠欲、食欲、・・・あれ?あと一個ってなんだ?」
「ああ、せ・・・」
「ヒナタには関係のないものだよ。だいたい2つも満たしてたら十分でしょ。確かにヒナタ睡眠もばっちりだもんね、1度寝るとぐっすり。」
「だろ?僕寝つきいいんだ、昔から。そういやヒオウはうつ伏せ寝でよく寝れるよな?どっかおかしいんじゃないの?」
「・・・失礼なこと言うね?」

2人は寝方について話している。
グレミオはそっと首を傾げていた。


彼は先程ヒナタが思いつかなかった欲について、それは性欲だと言おうとした。

その時まるでそれを邪魔して誤魔化すようにヒオウは話を割って入ってきたようだった。

まるでヒナタとは、じゃれあい程度ならまだしもまともに性について話したくないかのように?


普通この年頃の男の子なら2人集まれば女の子の事や性的な話ばかり、とは言わないが頻繁に出そうなものだ。
だがグレミオが知る限りこの2人はじゃれあっている事はあっても、性的な話をしているのを聞いた事がなかった。
昔解放軍にいた頃ヒオウを含めた男の子何人か集まると必ずそういった系の話は出ていたものだが。
確かにヒオウ自身を言えば、そういった事にすらどうでも良さげな雰囲気は当初からあった。
だが先程はグレミオにしてみれば少し気になる感じ、まるでヒオウがヒナタに入れる知識を操作しているような、そんな感じ・・・いや考えすぎか?

「ごちそーさまあ。美味しかったーっ。グレミオさん、これ僕洗います。」
「え、いえいえヒナタくんはお客様ですし、すでに買い物までしてもらってますんでいいですよ。気を遣わないで下さいね。」
「えー別に気を遣ってるわけじゃないです。じゃあ2人でやろう、そしたら早いし、ね?」
「え?じゃあ僕も・・・」
「「ヒオウ(坊ちゃん)は何もしなくていい(です)。」」

何も2人で声そろえなくても、とぶちぶち言うヒオウを無視してヒナタはお皿等を下げ始めた。
ヒオウは近くに置いてあった読みかけの本をふてくされつつ読み出した。
グレミオもヒナタの後に続く。そして2人で一緒に洗い物を始めた。

「すみませんねえヒナタくん。」
「ううん、ほんと大した事じゃないし。夜ごはんの準備も手伝いますね。」
「ほんとそれこそ大丈夫ですよ。ヒナタくんはせっかくのお休みですし、ゆっくりしてて下さい。坊ちゃんとおしゃべりしたりして、ね?」
「そのほうがいいなら、そうするけど。」
「ええ。そうして下さい。・・・そういえばお2人はいつもどんな事をお話するんですか?」
「え?どんなって・・・別に特にこれといってないけどなあ。そん時そん時だよ。」
「女の子のお話とかもされます?それとか、うーんそうですね、Hな話とか。」
「ええ!?・・・どうしたのグレミオさん?」
「え?ああ、坊ちゃんってそういう事も興味なさそうなもので・・・。」

驚くヒナタに、グレミオはそれらしい事を言った。
ああ、とヒナタも頷いた。

「うーん、確かにヒオウって色々な事に興味ありそうで、実はどうでも良さげだもんねー。グレミオさん、心配なの?」
「あー、まあ、そうですね。」
「ふーん。・・・うーん確かに僕らって、ちょっとした冗談くらいならあるけど、そんな話しないな。シーナとかって逆にそんなのばっかだけどね。」

あはは、とヒナタは言った。

別に不思議でも何でもないといった感じだった。


・・・坊ちゃん・・・。
坊ちゃんはヒナタくんの事、どう思ってるんですか?

とても大切にしているという事は分かっていた。グレミオからすれば溺愛しているといってもいい。

大切な・・・友達?
それとも恋人?

・・・べつに恋愛対象としてみていてもグレミオは良かった。

そういう対象としてみていて、今はまだ子供なヒナタくんには早いだろうからと手も出さずに大切に大切にしているんですか?
それならとても素敵な事だと思える。

・・・でも。

・・・とても大切な、大切な・・・宝物のように扱っているとすれば・・・。

グレミオは首をふった。

・・・まさか。いくら坊ちゃんでもヒナタくんを物のように扱うだなんて・・・。

「・・・どうしたの?グレミオさん?」

ヒナタが心配そうに見ていた。

「え?ああ、いえ、何でもないです。」

ニコリと笑い返した。
・・・ヒナタくんは坊ちゃんの事、どう思ってくれているんでしょう・・・?

「あの、ヒナタくん、その、・・・坊ちゃんといつまでも仲良くしてくれますか?」

坊ちゃんがどう思われているのか不安になっている時にヒナタくんに聞けない、とグレミオは思った。

「?うん、勿論。ヒオウは僕の大切な人だからねー。」

ヒナタは首を傾げた後、ニッコリして言った。
ヒナタくんのいう大切な人とはどういう存在なんだろう。
それでも少なくともヒナタくんは坊ちゃんの事を”人”だと言ってくれた。

・・・坊ちゃんの事も、多分私の考えすぎでしょう。
グレミオはまたヒナタにニッコリとした。

「夜はほんとに美味しいご馳走を作りますから楽しみにしていて下さいね?」

ヒナタはじっとグレミオを見ていた後、ニッコリとして、うんっ、と言った。