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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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どうやらカラヤを襲ったのは鉄頭とグラスランドでは呼ばれているゼクセンの騎士団らしい。

「ふーん・・・。でもさあ仮にも騎士団っていうくらいなんだから無法者達じゃないんでしょ?ヒオウが聞いてきた話によるとどうも酷い有様じゃんか。まあ騎士っつってもバカゴルドーみたいなんもいるだろうけどさあ。なんか変な感じ。」
「うん、まあね。どうも裏がありそうだね。」

翌日チェックアウトをしてから朝食を取りに行った。

「・・・眠い。くそー眠い。」
「考えても仕方ないってのにずっと裏について考えてるからでしょ。ヒナタから睡眠とったら何も残らないんだから無駄な事しない。」
「・・・失礼な事言うな。まだ食欲が残ってる・・・。」
「・・・いいんだ?それで・・・。」

テーブルにつき食べ始めた。
朝からよく食べるねえとヒオウが言い、お前が食べなさすぎなんだよとヒナタが返していると昨日は見なかった女性と女の子が入ってきた。
女の子のほうは服装、あの肌。カラヤの人々を思い出させた。

「あたしソーダ。」
「えらく気に入ったんだねえ。」
「だって美味しいよ?クイーンも飲めばいいのに。」
「あたしは遠慮しておくよ。・・・ゲド達はまだ寝てるのかねえ、ったく。飲みすぎなんだよ。」
「おいおい・・・、アンタには言われたくないって言葉知ってる?」

そこに新たに3人の男が加わった。
紫の服を着たおっさんと、女性に突っ込み返していたそれよりは若そうで軽薄そうな男、そして・・・。

「・・・ヒオウ、あれ。」
「んーそうみたいだね。」

黒っぽい服装と黒い髪をした少し疲れたような男。

「真持ちってそんな簡単に出会えるもんなんだー。」
「いや、普通はそんな事ないでしょ。やっぱり何かあるんだろうね。」

ヒオウとヒナタはぼそぼそと話した。

その男からは雷、それも真の雷の紋章の気配がほんの少しだけしていた。
普通なら分からないであろう。
だがヒオウとヒナタには感じ取れた。

あちらもふとヒナタ達に気付いた。
ただこんなところに少年が2人だけというのが浮いているようで、見てただけのようである。

「じゃあ、ま、ご飯もたっぶり食べたし、出発しますか。」
「食べすぎだよ。」
「いーんだよ。これからその分消化すんだから。」

そうして2人は立ち上がり、出口へと向かった。
黒い格好の男の横を通り過ぎる時、ヒオウがボソッと言った。

「もう少し気配隠したほうがいいよ?普通じゃ気付かないけど、狙ってる奴らからしたらきっと分かるんじゃないかな。」

黒い格好の男はさっと振り向いた。
少年2人はそのまま宿屋から出て行った。

「どうしたんだい?ゲド?」
「・・・いや・・・。」

ゲドと呼ばれた男は暫く出口を見ていたが、クイーンと呼ばれていた女に聞かれて何もない、と仲間の中に入っていった。


一方ヒナタ達はカレリアを出て道が二手に分かれているところまで出た。

「そっちには特に今は用ないんじゃないかな。行ってもでっかい虫がいるだけだよ。」
「でっかい虫??よく分かんないけど、まあヒオウがそう言うならこっちに行こうか。」

歩くと少し人だかりが出来ていた。

「どしたの?何かあんの?」

ヒナタが一人の男に聞いた。

「いや、あるっていうか、いるっていうか・・・。」

2人は首を傾げつつ、埒があかないので周りが、子供が行ったら危ないっと止めるのも聞かずそのまま進んだ。

「ああ、成る程ね。いる、ね。」

2人は合点がいったように頷いた。

少し進んだところでどでかい亀と蛇が合体したような化物が崖から降ってくるように現れる。

「でっかい虫やらでっかい化けモンやら、この辺ってなんか成長促す成分でもあんのかな。僕もでかくなるかな。」
「・・・背が伸びるんじゃなくて巨大化するだけでもいい訳?バカなこと言ってないでいくよ。」

ヒオウが呆れたように言ってから棍を取り出す。
チェッとむくれつつヒナタもトンファーを構えた。
遠くで誰かが武器だけで向かうつもりかと声を上げていた。

「・・・だって。だからヒオウ、火でも宿しとけば良かったんだよ。あれ、便利じゃん。野宿んときとかさあ、料理やら焚き火やら獣避けやら簡単に出来んだよ?」
「だったらヒナタが宿せば?」
「むう。僕が通常魔力低いの分かってて言ってるよな?あーむかつく。」

そう言うとヒナタはトンファーで化物に殴りかかった。

「料理やら焚き火やらにさほど魔力は関係ないと思うけど・・・?ていうか化物に八つ当たり?大人気ないよヒナタ。」

そう言いつつもヒオウも棍を振るう。

「僕は永遠の子供なんですー。だからいいんですー。ヒオウこそ、火は僕向きじゃないだの雷はシエラ様とかぶるからいやだだの我侭なんだよな。魔力はバカ高いくせにさあ、贅沢モン。水やら風やらどんだけ癒せば気がすむんだよ。」
「僕は癒し系だから。」
「ぜったい、ない。」

2人で軽口をたたいているようにしか見えない。
だがそうこうしている内に化け物はたいした反撃もする暇もなく倒れてしまった。

遠くで成り行きを見ていた人々からどよめきが起こる。
あの子供達はいったい・・・。
だがそれもどうでも良くなったのかやがて大歓声に変わった。

「めんどくさいから、ほっといて行くよ?」

ヒオウはそんな歓声を無視してそのまま進み始めた。ヒナタはとりあえず皆に手を振ってからヒオウの後に続いた。

「でもさー、これでまたお金入ったし、次行く街で美味しいものでも食べられるかなー?」
「・・・ああ、言ってなかったけ?ここから暫くは野宿になっちゃうんじゃないかな。カラヤもなくなったしね。」
「えーっ、うっそん。ちょ、聞いてないよ。あーそんなだったらもっと色々食べときゃよかったー。」
「・・・ヒナタが気になるのはそこ?あんだけ食べておいてまだそんな事言えるんだ?・・・もう。ま、準備は僕がしてるからね、大丈夫なんだけどさ、もうちょっとしっかりしてねー?」

またまた軽口をたたきながら2人はそのままさくさくと先を進んで行った。