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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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乾坤



「なんか急に賑やかになったよね、ここ。」
「おお。なんだか15年前を思い出すなー。」
「そういや知った顔がいたね?」
「え、まじで!?僕まだ見てない。誰?ねえヒオウ、誰?」
「なんで気付かないんだろうね?アップルとかトウタとかフッチ、あと相変わらずのビッキーにジーン。他にもなんかいたようなー。」
「え、そんなに!?だってえー。丁度ここが本拠地になる前後にちょっと、とかいって僕ら出かけたじゃん。帰ってきたの昨日だろ!?分かる訳ないよ。ヒオウが気付くの早すぎなんだよ。」

ヒナタがぶうぶうと文句を言った。

2人はこの城に来てから暫くは城内でフラフラしていたが、ある日ふと、ちょっと出てくるね、また戻ってくるけど、とトーマスに言って出かけたのだった。

その間にブラス城で戦争があった後にここが新たなる炎の英雄とともに炎の運び手といわれる仲間達が集まる本拠地となっていた。


2人はざわめくような紋章に導かれある場所を目指していた。

ルビーク。

前にヒオウがデカイ虫がいる所と言っていたところだ。


「あの・・・お友達だと仰られる方たちが・・・」
「・・・友達・・・?・・・!!」

セラが言った後、嫌になるくらい知った気配を感じ取った。

「やほー、久しぶりー。」
「元気だったー?僕とヒオウは相変わらずだよーっ。」
「なっなんで君達がっ!?ってセラ、だめだよ、知らない人を入れたら。」
「・・・え・・・?」
「やだなあそんな事言っちゃってえ。ルックんのいけずー。ねえヒオウ。」
「まったくだよ、いくらあんな若気の至りというにはあんまりな仮面つけてるからって誤魔化さなくってもー。」
「っうるさいうるさいっ。ていうか何でこんなとこにいるんだよ!?」

あの頃より短くなった髪のルックが引きつった顔をして2人に言った。
いつも側にいるセラは気を利かせて、ちょっと出てますね、と言って部屋から出ていった。
「んー何かさあ、紋章が落ち着かないんだよね。ルック、お前何するつもり?」
「そうだよーあんな可愛い子育てちゃってさあ?何?光源氏のつもり?」
「ちょ、ヒナタ、それ今関係ないから。しかも何、光源氏って・・・時代背景混同しない。せっかく僕が真面目に問いただしてたってのに台無しでしょ?そんな残念な事言わない。」
「っあんたら2人の存在が残念だよっ。」
えー何それ、酷いよルック、と2人にワイワイ言われてルックは額を抱えた。


「・・・で、その灰色の世界とやらにいずれはなると?絶望しかない世界になる前に壊してしまう、と?」
「・・・何か簡単に言われるとアレだけど、そういう事だね。・・・邪魔しに来た訳?」

ルックはどうやら真の五行紋章を集め、その膨大な力を爆発させこの世界自体を壊してしまおうと目論んでいるようであった。

「・・・その前にさあ、なんでハルモニアの神官なんかやってんの?遂行できやすいから?」

ヒオウが更に聞いた。

「・・・それもある。それに・・・もともと僕はハルモニアの出だ。」
「まじで?じゃああん時の、えーとササライだっけ?ルックにそっくりの?あの人と関係あんの?兄弟?」

ヒナタが聞いた。
ルックはじっと2人を見た後、ため息をついて言った。

「兄弟・・・、まあそうだね・・・。・・・僕らは・・・ヒクサクにもそっくりだよ・・・。僕らは器なんだ・・・。紋章をとどめるために作られたね・・・。」

ルックは言った。
だからあまり感情もないのだと。
色や感覚などもよく分からないんだと。
感じる、ということがよく分からないんだと。

「そんな・・・。だってナナミの料理はまずいって分かってたじゃない。」
「・・・ヒナタ、そこ?だいたいナナミちゃんの料理はまずいって次元じゃなかったでしょ?さすがにルックでも危険物はさけるよ、ねえ?」
「・・・ほんとにあんた達って・・・。・・・・・・っぷ・・・っくっくっくっ・・・あーっはっっはー。」

シリアスな顔で言ったヒナタに呆れ顔で突っ込みルックに首を傾げるヒオウ。
それこそ呆れたような顔をしていたルックだったが俯いて震えていたかと思うとこらえきれず笑い出した。

「「ルックが壊れた!?」」
「・・・失礼な。・・・君達といると何だかやろうとしていた事を忘れそうになるよ。」
「・・・でも、やるんでしょ?」
「・・・止めるかい?」
「いいや、止めないよ?ヒナタはどう思う?」
「うん、僕も止めない。ルックが初めて自らやろうとしている事だし。・・・でもね、ルック。多分ルックは勝てないよ・・・?」
「・・・。なぜそういい切れる?」
「・・・だって・・・ルックだって僕達と一緒に戦った事あるんだし、分からない?きっと向こうは多くの仲間を集めて・・・がむしゃらに前に進んで行くよ?・・・どっちが正しいとかじゃなくって・・・。多分・・・。」
「・・・・・。・・・それでも僕は、やる。」
「・・・うん・・・。ルックがよく言ってたように星の流れがあるんだろ?ルックはそれをどうにかして曲げようとしてるんだよね?変えようとしてるんだよね?でも星の流れは運命じゃなくて宿命なんだろ?宿命は、変わらない。後はそれをどう生きるか、だろ?宿命に織り込まれた運命をどう変えていくか、だろ?で、ルックは分かった上でそれを選んだんだよね。・・・だから、僕は止めない。」

そう言うとヒナタはギュッとルックを抱きしめた。

「もう何も言わないし止めない。ただ見続けさせてよ。・・・出来ればルックと一緒にいたいけど、ルック達にはユーバーがいるんだろ?あいつは僕の事嫌ってるみたいだしね。だからあっちに戻るけど、向こうでも僕らは何もしないし止めないよ。ただ見てるだけだ。」
「・・・ありがとう・・・。」

暫くとりとめのないことを喋った後でヒオウとヒナタはルビークを後にした。

「ヒオウ、この戦いが終わるまで、いていい?」
「うん。最後まで見届けよう。」

そしてまたビュッテヒュッテ城に戻ってきたのだった。
ルックが向こうを攻めるという話をしていたから少しカレリアで暇を潰してからグラスランドを横断してきた。
あくまでも今回は戦いには参加しないつもりだった。

「んじゃまあ、知り合いに挨拶でもしに行こうかなー。」
「ああ、丁度あそこに、ほら。」

ヒオウが指差した先に見知った、でもあの頃より大人になっている眼鏡の女性が赤毛の青年と色の黒いカラヤ人らしい少年と立っていた。