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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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今昔



「やっほーん。久しぶりー。元気だったー?シュウの奴何にも言ってなかったよなー。」

向こうからそうのん気にのたまう少年と、その横でにっこりおだやかそうに手を振りながら歩いてくる少年、2人がやってきた。

「っええ!?」

アップルは目を見開いて驚いた。

そうこうしている内に金輪をつけた少年がまた、久しぶりーっといいながらアップルに抱きついてきた。
それをもう1人の少年がニコニコしながら引き剥がしアップルに話しかけた。

「ほんと久しぶりだね?元気?綺麗になったんじゃない?そういえば離婚したんだってね。」
「え?あ、ああ、ほんとに久しぶり・・・。」
「・・・誰アップルさん、このふざけた小生意気そうなガキ2人は?」

赤毛の眠そうな目の青年が言った。
横でカラヤ人だろう少年も首を傾げている。

「小生意気なガキィ?失礼だなー。これでも僕はあんたより大人なんだからなっ。」
「こらこらヒナタ、いちいち突っかからない。どう見たって僕らはこいつより下に見えちゃうんだしね。」

はあ?という顔をした青年にアップルが言った。

「・・・シーザー、この2人はね、こう見えても前デュナン国王とトランを打ち立てたあの英雄なのよ・・・。」

一瞬の間があった。

「っええ!?ほっほんとにっ!?・・・っえーっ。」

眠そうな目を精一杯見開きながら面白いほどに驚いてくれた。
横の少年はまだ首を傾げていた。シーザーに凄い人なの?と聞いている。

「っていうかアップル、こう見えてもって、何?」
「ほんとだよ、何気に酷いよ。」
「ふふ、ごめんないさい。この2人を紹介するわね。こっちがシーザー。シーザー・シルバーバーグっていったほうが分かりやすいわよね。」
「じゃあ軍師?」
「ええ。あのレオン・シルバーバーグの孫なの。」
「「げ。」」
「・・・何でそこで、”げ”な訳?」

シーザーが言った。
ヒナタはヒオウに、だって、ねえ、と言っている。

「で、こちらが今の炎の英雄よ。ヒューゴくん。カラヤ族長の息子さんなの。」
「「げ。」」
「え、俺も”げ”な訳・・・?」

ヒューゴはまた首を傾げた。

「で、ヒューゴくん、シーザー。こちらのお2人が前デュナン国王ヒナタさんとトランの英雄ヒオウさんよ。」
「あー、あらためて、よろしく。」
「あの、俺あんまり外の事詳しくなくてよく分からないんですが、凄い人なんですよね?その、よ、よろしく。」

シーザーとヒューゴが頭を下げた。

「あーどうも、よろしく。別に凄い人じゃないし、ここにいるのも観光なんで何も協力は出来ないけどね?」

ヒオウがニコリと言った。

「え、あ、はいっ。構わないです。」

ヒューゴもニッコリとして言った。
シーザーはふーん、といった顔をしたが黙っていた。

ヒナタがアップルに言う。

「そういう訳なんだー。悪いけど僕達は手伝えない。あ、勿論あっちにも味方はしないから。」
「そう、ちょっと残念だけど・・・分かりました。気にしないで、もともと今回はあなた達は宿星でもないようだし・・・あ、石板は、今回はこの平原の外れにいつのまにかあったわ・・・。」
「ああ、そうなんだ。じゃ、まあそういう事だからー。またね、アップル。会えてよかったよ、シーザーさん、ヒューゴくん。」

ヒナタがバイバイ、と手を振る。
アップルと今の炎の英雄がいたから正体ばらすような事言ったけど、他の人たちにはあんまり僕らの正体は言わないでねーといいながら2人は去っていった。

「何か、あんまり2人とも英雄って感じしないな。」

シーザーが呟いた。
アップルが苦笑した。

「ええ、まあそうね。でも彼らは当事者だった頃から普段はあんなよ。でもいざとなったら・・・ヒオウさんは・・・そうね、言い伝え通りカリスマ性に満ちていたわ。そこにいるだけで圧倒的な存在感に溢れていた。それにヒナタさんも、誰もがリーダーと認め崇めつつ親しんでいた。」
「じゃあ実際はやっぱり聞いている通りって事か。じゃあ腕のほうも凄いんだろうな。おしいよな、今回一緒に戦ってもらえたら・・・。」
「仕方ないわよ。だいたい彼らだって見た目通りだった少年の頃に酷い戦争を経験しているのよ。もう十分苦労してきてる・・・。」
「・・・そうなんだ・・・。でも話聞くとかくらいならいいよね?俺、まだ英雄っていわれてもどうしていいか分かんないし・・・。」

ヒューゴが言った。
アップルはニッコリと微笑んで勿論、と頷いた。

シーザーがふと聞いた。

「そういや見た目、とかさー、あいつらも俺より上とか言ってたし・・・いったい彼らって、いくつなんだ・・・?」
「・・・そうねー・・・確かヒオウさんが35、ヒナタさんが・・・30くらいだったかしら・・・?」
「「・・・まじで!?」」


アップル達と会った後、ヒオウとヒナタはばったりとあまり会いたくない人物(特にヒナタが)と出会った。

「・・・き・・・貴様は・・・。」
「や、やあ、久しぶりー、元気だった?」

ヒナタは一瞬げ、と思った後、ニッコリして挨拶した。
ヒオウが心なしか少しその場から離れたように思う。

「なぜここに、いる・・・?」
「あは、えーと、観光?っていうか手にもってるのってあん時の鞭?ねーほら、もう僕らって戦う理由ないし、当時は僕も子供だったんだしー。ってことでソレ、しまってよー。ね?ルシアー?」

ばったり会った相手がヒナタだと分かった瞬間ルシアの手には武器である鞭が握られていた。

「・・・観光、だと?こんな時期にこんな場所で?」
「ほんとだって。実際僕らはこっちにもあっちにも何一つ手出しとかするつもりないし。ほら、僕もようやく引退して暇が出来たからさあ。ね?そんな事より、ルシア、綺麗になったね?びっくりしたよ。」

とりあえず観光と信じる事にしたのか手の鞭を緩めたルシアは、ヒナタの思いがけない言葉に驚きつつ少し照れていた。

「貴様らは、やはり変わらないな。子供のまま、か。」
「うん、まーねー。あ、子供といえばルシア、さっき会ったよ、ヒューゴくんだっけ?いい子そうだね。」
「ああ。あの子は本当にいい子だ。そしていい男になる。」
「っていうかもしかして当時すでにお腹にいたってのに夜這いとかしてきたの!?」

すかさず鞭が飛んできた。
すでに離れて見ていたヒオウは呆れたように鞭をすいすいよけつつまだ軽口を叩いているヒナタを見ていた。