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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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天稟



その後ヒオウとヒナタは他の懐かしい人々にも会った。

ジーンやビッキーは予想通り変わってなかった。
ただビッキーの子供みたいな、でも年寄りみたいな話し方をするちびビッキーにはお初にお目にかかったが。

トウタはびっくりするくらい大人になっていた。あの小さかったトウタがねえ、と2人は年寄りのようにしみじみと言い合った。
あとフッチも大人になっていた。びっくりするくらいたくましくなっており、それとさらに礼儀正しさに磨きがかかったような気がした。
ほかにもヒオウの仲間だったロニー・ベルの娘やミリアの娘、マクシミリアンの孫、サンチョの娘がいたり、ヒナタの仲間だったフリード・Yとヨシノの娘、グスタフ(現ティント大統領)の娘、テツの息子やハイ・ヨーの友人バショクの娘などかなり縁があるようだ。

おまけに星辰剣までいた。持ち主は熊ではなかったが。

「なんかようやく年を感じた。」
「やだなあヒナタ、何言ってんの。確かに生きてる年数はたっていても僕らは永遠に十代少年だから。」
「何それ。現実逃避?投げやり?別にいいけどさ。あー、そうだよなー、もう子供いてもおかしくない年なんだよなーみんな。」
「子供でも欲しい訳?」
「・・・いや、別にいらない。ていうか想像つかない。僕の子供も、ヒオウの子供も。」

どうせ作り方も分かんないしね、とヒナタは内心投げやりに思っていた。


その数日後。

「わあ、よく生ってるねえ。」

大抵ヒオウと一緒にいるヒナタだが今は珍しく一人だった。
ぶらぶら歩いていると畑があった。
野菜や果物が美味しそうに育っている。

「だろ?俺が丹精込めて作ったからな。そら、やるよ。」
畑作りにはなんだか不釣合いなほどの男前がヒナタにトマトを投げてよこした。

「わあ、ありがとう。僕ヒナタ。あなたは?」
「俺はバーツ。ここの畑で作物を育ててる。お前は新しく仲間になった奴かい?」
「ううん、違うよ。僕はただの観光者。あ、これ、甘くて美味しいね。」
「だろ、だろ?」

美味しそうにかじりつくヒナタをバーツはニコニコと見た。
ヒナタは暇だったので、暫く見てていい?と聞いてその辺に座ってかじり続けた。

楽しそうに働くバーツを見ながら、トニーとはまたえらく違った感じの人だなあとぼんやり思っていると、目の前を蜂が飛んでいった。
蜂は野菜の花にとまる。ヒナタはそれをじっと見ていた。

「どうしたんだい?またえらく熱心に花を見て。」
「ていうか蜂を見てたんだけどね。蜂蜜って美味しいよなーって。たしか花から蜜すってくっついた花粉とかと一緒に巣で蜂蜜作るんだっけ?」
「うーん、合ってるような違うような・・・。まあくっついた花粉はそれよりゃもっと重要なことに役立ってるじゃん。」
「・・・?え?何に?」
「何って、めしべに運ばれるっていう重要な役割のことだけど。」
「・・・ん?えーと、意味、分かんないんですけど・・・?」
「・・・は・・・?え?ほら、おしべとめしべの事だよ。」
「・・・・・。」
「おいおい、今時重要文化財だな。いくら子供っつってもなあ。お前13か14くらいにはなってんじゃねえの?」
すいません30くらいです、とヒナタは内心思った。
何?
普通知ってる事なの?

「・・・えーと、花とかは勝手に動けねえからな、風や蜂などに手伝ってもらって子作りしてるようなもん、かな。おしべ、まあ人でいうと男側だけどさ、おしべの花粉が蜂に付く訳よ。んで蜂がめしべの方にいったときに付いてた花粉がめしべにくっつく訳だな。で、受粉・・・まあ人でいうなら受精だな。受粉して、花の子供、要は種が出来るって寸法だ。」

バーツが花を見せながらしてくれる説明をヒナタは熱心に聞いていた。

「へえーそうだったんだー。てことはじゃあ人間も何かくっついて子供が出来るんだ・・・?」
「お、おう・・・。お前ほんと天然記念物だな。まあ純粋って事はいい事だよな。ほら、もっと食ってけ。」
「わあい、ありがとうバーツ。・・・あのさ、何か恥ずかしいから今の事は2人だけの秘密にしてくれない?」

喜んで野菜を受け取った後、ヒナタはもじもじしながら言った。
バーツは分かった、と約束してくれた。

しばらくしてから、じゃあね、とヒナタはそこを後にした。
おしべとめしべかあ。今日は勉強になったなあ、と軽やかに歩く。

「・・・そういやヒオウはどこいったんだろ・・・?」

たまーにいなくなるんだよなーとヒナタは思った。
まあ、別にいいんだけどさ。

「あ、ヒナタさん。こんにちは。」
「や、ヒューゴくん。?どうしたの?何か元気ない?」
「え?あ、いや。・・・えーと、今度劇に出るんだ。」
「それがどうしたのー?演劇苦手?」
「あ、うん、それもあるけど・・・その、”ロミオとジュリエット”やるんだ・・・。」
「ふーん?」
「・・・俺がジュリエット・・・なんだよね・・・。」
「ぶっ。あは。」
「・・・やっぱり笑うと思った。何で俺が女役なんだよー。おかしいですよね?」

少しむくれたようにヒューゴが言った。

「まあ理由は知らないけど・・・。僕も昔よく舞台で踊ったよー?女装して。」

ヒナタがニッコリして言った。
ヒューゴはびっくりしている。

「ええっ?何で?いつもそういう役柄だったんですか!?嫌じゃなかったの?」
「えー?いや、いつもじゃないけど。踊りの内容によってはねー。別に嫌じゃなかったよー?楽しかったし。」
「へえ・・・。ヒナタさんって本人に言うのも何ですけど、変わってるなー。俺だったら女装は嫌ですよ。今度もこのまま出るつもりだし。」
「そうかなー?そういやヒオウにも不思議がられたような気がすんなー。そんなもんかなー?」
2人でそんな話をしながら笑いあった。少し離れた所では女性達がその光景を見ながら騒いでいた。
「なんか可愛いわよね?」
「ヒューゴくんがやんちゃな美少年、もう一人の彼が可憐な美少年って感じかしら。」
「でもヒューゴくんって性格も可愛いのよー?」
「もう一人の彼って誰かしらね?最近まで見かけなかったけど・・・。」
「今はいないけど、これまたほんとに凄く綺麗な男の子といつも一緒にいるみたいよ。」

こんな風に言われている事など露知らずにヒナタとヒューゴはしゃべりながら歩いて行った。