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ヒオウ・ヒナタ~~溺愛魔王と俺様~~

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「なあなあヒオウってたまにいなくなるけどさー、いつもどこ行ってんの?」

オープンテラスでメイミの作った料理を食べながらヒナタがふと思い出して聞いた。

今日は皆どこかのダンジョンやら戦いやらに出かけているのか人が少なく、のんびりとした雰囲気があった。

「どこって、いろいろ?」
「・・・なんで僕が聞いてんのに疑問系でかえってくんだよ・・・。ズルイよ。僕が1人でどっか出かけんのは反対するくせにー。」
「だってヒナタ道疎いじゃない。この間だってヒナタに任せてたら全然違うとこ行こうとしたでしょ。」
「・・・うっ。」

さらりと言い返せない事を言われてしまった。

「ヒナタもこの城内ではちょこちょこ1人で出かけてるでしょ?」
「ってそれは何だか出かけてる気分じゃないよっ。チェッ。でー?ほんとどこ行くのさ。」
「うーん、ほんと色々なんだけどな。ちょろっとお金稼ぎに行ったりー・・・」
「そんなのだったら僕も誘えよなー。でも最近大して強い敵出ないからあんまり稼げなくない?」
「まあ、そこはほら、色々と他にも稼ぐ方法あるし。」

ヒオウはすました顔で食後のお茶を飲んでいる。
他?
ヒナタは首を傾げる。

「えーと、賭博、とか?僕だってそこそこ得意だよ?」
「うん、そうだね。」
「色々・・・。他に何があんの?」
「いろいろ、だよ。まあヒナタが気にすることじゃないよ。」

んー?と考えているヒナタにヒオウがニッコリとして言った。

「んだよ、相変わらず僕を子供扱いしてない?僕だっていい大人なんだけど?」

ぶう、とむくれるヒナタにヒオウはまたニッコリして言った。

「んー、なんかヒナタが大人って言っても実感湧かない。見た目どころか中身も変わらないし。」
「・・・それってバカにしてる・・・?僕だって日々成長してんだからな。こないだは子作りについて勉強したしさ?」

それを聞いた瞬間ヒオウがブーッとお茶を吹いた。

失礼、と口などを拭いながらちらっとヒナタを見た。

「・・・何、それ・・・?」
「え?うん、他の人なら恥ずかしいから言えないけどね、ヒオウは知ってるし、いいか。僕さあ、あんましそういうの、疎いじゃん。」

・・・あんまり・・・?
そうとう、の間違いでしょ・・・?とヒオウは思ったが先を促す為黙っていた。

「でね、こないだバーツ、あ、ここで農作業してる人なんだけどね、そのバーツといる時に知ったんだよ。」
「・・・・・何を・・・?・・・まさか、何かされた・・・?」
「え?何されるってんだよ?おしべとめしべだよっ。」

間が出来た。

「・・・・・え・・・?」
「だからー、普通皆知ってんだろ?受粉?の話。」
「は?・・・あ、ああ、まあ、それはね。・・・・・で?」
「え?だから、あれだろ?人も同じなんだろ?何かくっついて、受粉、じゃないや、受・・・精?して子供出来んだろ?」

それはそれは得意げにヒナタは言った。

「・・・・・。」
「・・・?何、その生暖かい目は?あれ?何か間違ってる?」
「あー・・・いいや、まあ、その、うん。基本だよね?間違ってはいない、よ?」

まさかおしべとめしべとは。
そこまで無知とは。
いくらなんでもかえって良くないのかもしれない。
知らなすぎるというのも。

「ちなみに何がくっつく、とかは分かったの?」

テラスを出て歩きながらヒオウは聞いてみた。

そこがねー、正確にはねー・・・と残念そうにヒナタが呟く。

「そういやヒオウとこんな話すんの、めずらしくない?」

ふとヒナタが聞いてきた。
まあね、いつもならもしこういう話になっても僕がそれとなく逸らしているからね、とヒオウは思ったがニコリと言った。

「そうだった?」
「うん、そんな気がする。・・・でさ、その・・・えっと・・・」

めずらしくヒナタが歯切りが悪い。
ああ、聞き辛いんだろうな、とヒオウは思った。
でもこっちも説明し辛い。
こんな真昼間からこんなのどかなところでナニがくっつくとか、言い辛い。

だがヒナタのこの無知の酷さはさすがにまずいとも思う。
まあこの様子なら誰彼ともなく聞いてまわるとも思えないが、何かのはずみでヒオウ的にあまり歓迎できない状況になられても面白くない。
多少知っても、このヒナタの未熟な体や知識なら変な風に興味がいくとも思えないし。

人は少ないがいちおう更に誰もいなさそうな湖のそばにヒオウが腰をおろすと、ヒナタもその隣に座った。

「あのね、ヒナタ。男と女の体で1番パッと見違うところってどこだと思う?」
「え、うーん・・・女の人の体なんて分かんないけど・・・胸とか・・・?あ。」

思い立ったのか、ヒナタが思わず自分の下のほうを見た。

「うん、そう。そこからね、花でいう花粉、人なら精子が出るんだよ・・・」

とりあえず授業のようにまじめに教えた。
ヒナタもまじめに大人しく聞いていた。

聞き終わる頃にはヒナタは口をポカンと開けていた。

「えー・・・そう、なんだ・・・。う、わあ・・・。無理。僕には出来そうにないよ、そんな事。だって状況がまずありえない。」

・・・まさにおしべとめしべの話のようにその部分の説明だけをしたからだろう、想像しがたい様子だった。

「あー、まあ、そういう状況にする為の流れっていうか・・・雰囲気作りというか・・・要は前戯っていうものをするんだけどね・・・。」
「ぜ・・・?・・・難しいんだな。」
「うーん、難しいっていうか・・・。ほら、恋人同士とかって手つないだりキスしたりするでしょ?それだけでドキドキして・・・要はそういう流れで行為も始まるんだけど・・・一般的にはね。」

ヒオウは困ったような顔をしていた。
やはりこういう説明は難しい。
手取り足取り出来るものなら実際にしてみせるほうがよっぽど簡単だと思った。
ふざけた話をするのとも違って口できちんと説明をするというのはなんだか妙に居た堪れない。

「んー・・・ああ、1度シーナがさあ、誰か女の子とキスしてんの見かけたことある。」
「・・・ああ、シーナね・・・。」
「あっ。そういやそん時さあ、変な事してたんだよな。普通にチューした後に女の子の首に口つけてた。一瞬ギョッとしたよ。シーナがネクロードみたくなったんかと。血を吸うとか。僕もあの変態吸血鬼に首舐められた事あったし。」

ヒナタがふと思い出したように言った。

「あん時はちょっと焦った。だけど2人とも普通っぽかったし女の子もびっくりした様子もなかったしでとりあえず見なかった事にしてその場は去ったんだけどねー。」
「・・・・・。・・・まあそれも前戯みたいなもんだよ。」
「そうなの?何でそんなのが雰囲気作りになんのか分かんないんだけど?僕首舐められた時は気持ち悪いだけだった。なんでー?」

ええ?という嫌そうな表情でヒナタは言い先をうながした。
ヒオウは困ったような顔をする。

「うーん・・・。口では説明しにくいんだよ。・・・じゃあさ、僕がヒナタに今からするから、ヒナタは大人しくされるがままでいてくれる?」
「え?男同士じゃん。おかしくない、それ?」
「実験だと思えばいいよ。でも無理にとは言わない、というか分からなくていいなら僕もしない。どうする?」