intermission
「アムロならさっき戻ったよ。」ハヤトが呆れて言う。
「え〜どうして黙って帰してしまうんですか?」「説教してくれるんじゃなかったの?」
「それは後で。任せなさい。」話が見えないんですが。
「ハヤト艦長アムロくんがどうかしたのか?」
「いやクワトロ大尉に聞かせるような話では…」「そうですカバラの問題ですから。」
間髪いれずに言い切られる。
「余計気になるんだが。」つい身を乗り出してしまう。
やばい!ばれると自分が叱られる。「クワトロ大尉!ちょっとお話が!」
「カミーユ?」ともかくこの場からはなれないと。腕をつかんでひっぱつて行く。
でも話なんか無い。どうしよう…。
「クワトロ大尉。調度良かった。これにサインが欲しいんだけど。」
向こうからアムロさんが来る。助かった。押し付けちゃえ。
「アムロさん」「あれ、カミーユまだいたのか。休まなくていいのかい?」
「クワトロ大尉が何かお話があるそうです。」おい
「カミーユ?」「じや。部屋に戻っています」早足に立ち去る。
「あわただしいな?」書類を手渡しながら「で?話つて?」と聞いてくる。
はあ〜。カミーユめ…一体何の騒ぎなんだ。訳が分からない。
「私が聞きたいよ」「はあ?」手早く書類をチエックしながら聞く。
「そこでカミーユとベルトーチカがハヤト艦長に詰め寄っていたんで訳を聞こうと思ったら逃げられたんだよ」
「あ あ。」なにやら頷いている、アムロは思い当たる事があるようだ。
「気に入らないな」「は?」「私に隠れて何をこそこそやっているんだ。」
「別にあなたに隠れてやっているわけじゃなくて、前から問題だった事が又あっただけだ。」
「なんで隠すんだ。」「内部問題だから。エウーゴとは関係ない。」
「カミーユが関係しているなら私にも関係あるだろう。」
「そんな大騒ぎするような事じゃないよ。」「それは私が判断する事だ。」
「カバラはエウーゴの下部組織じや無いぞ。」じっと見る。
自分でも大人気ないと思うのだけれどアムロが関係するなら引く気は無い。
「話してくれないならサインしない。」「はあ?」あきれている。
「サインしてくれないと百式もゼータも出せないけど…」
なんだろうね?ストレス溜まっているのか?無理も無いけど。
「あなた酔っているのか?」まさかねえ?あれぐらいの酒で?
酔っているとしたらどうするのか。
「だったらどうするんだ。」半歩近づく。
「薬もらってこないと。明日にでも上がらなきゃいけないんだから、アルコールは分解しておかないと拙いだろ?」
腕をつかんで「では少し私につきあつてくれ。」
「おれがか?」「何か問題でも有るのか?」「ハヤトに呑むなと言われている。」
「待機中か。」「まあ そう 」歯切れが悪いな。じい〜。怪しい。
「アムロ。きみ」
「あ〜!また!」声がダブった。
「ベル?」腕を解いて向かおうとしている。ついつかむ手に力が入る。
アムロが怪訝そうに人を見る。腕を取ったまま声の方に進むと
「今度こそそのカメラ寄こしなさいよ!こそこそ隠し撮りなんてみっともない。」
「そんな折角撮ったのに〜。ツーショット。」
ツーショット?つまり私とアムロのことか?ハヤト艦長が抑えようとしているが、ベルトーチカは激高しているようで手に負えない。
女性が声高に言い合うのはやはり見苦しい。
「クワトロ大尉。ちょっと手離してくれ。止めないと。」仕方なく手を離すと飛んでゆく。
「ハヤトどうしたんだ?」「アムロ。」あからさまにほっとしている。
「どうもこうも見ての通りだ。君たちを撮っていたのをベルトーチカが見つけて、この騒ぎだよ。」
「そうか…。」アムロはベルトーチカの肩に触れながら、相手に女性の手からカメラを取り上げる。
「ベル。もう良いから。」「アムロ!」「大尉!」
「これは艦長が預かります。中のデータを消してから返しますから。良いですね?」
真っ赤な顔して俯きながら、蚊の鳴くような声で「すみません…。」と言って脱兎のごとく逃げてゆく。すばやい。
「なによ!アムロの言う事なら素直に聞くんだから。ったく。」
「ベル」咎める様に言う。
何か気に入らないぞ。
「みっともない所をお見せして。申し訳ない。」ハヤト艦長がカメラを受け取りながら話しかけてくる。
「ちょっと驚きましたが…。つまり隠し撮りの常習犯ですか?」
「アムロ限定なのよ。いやねえ!」
「ほー。それは。でこの中にあるんですか?」とカメラを覗き込む。
「ハヤトデータは全部消してくれよ。」
「さっきは気にして無いと言っていたじゃないか。」
「俺だけなら良いけど、クワトロ大尉が一緒に写っているんなら駄目だ。」
「それはどういう意味かな?」「…絡むなよ。写真極力避けてるのは誰だよ。」
「さっきの君のセリフに傷ついただけだ」首をひねりながら考え込んで「ごめん。どのセリフ?」
がっしり肩に両手を掛けて「やっぱり付き合ってもらおう」
「え〜とほら艦長命令があるから」簡単に逃がさないぞ。
「どうかしたのかアムロ」「酒に付き合えって」
艦長とベルトーチカが目配せしたようだ「駄目よ」「待機中だぞ」
「だそうだ」じ〜とみてボソッと言ってみる。「人身御供…」
眼が据わっている。「うっ。」口は災いの元。手を離してくれそうも無い。
「悪かった。」「謝罪は付き合ってくれたら受け入れよう。」
「そうは言ってもこっちも艦長命令で」「ではハヤト艦長も付きあつてもらおう。」
「わたしもですか?しかし…。」まさか呑む訳には行かないだろうし、何より素面でこの二人の相手をするのは。
う〜ん。「あたしが」とベルトーチカが言おうとするとクワトロ大尉は見下すような眼差しを向ける。
「ベル」アムロが駄目だと頭を振る。なにやら険悪。
「分かりました。それでは会場に戻って頂きましょう。」その方がましかな。
なんで私があんな眼で見られなくてはいけないの?怖かった。
「ベル。今日は疲れただろう?もう休んだ方が良い。」いつの間にか横にアムロが来てくれ
た。肩を抱いてくれる。ほっとする。「ええ。」笑おうとしたけどちょっと引きつる。
「おやすみ。一人で戻れるね?」額にキスをくれる。「ええ。」今度は笑えた。
少し青い顔してベルトーチカは部屋に向かう。角を回るのを見送ってから、睨む。
「女性にあの態度は感心しないな。大人気ない。」溜息つきながら、「そうだな。つい…」
「飲みすぎじゃないのか?」「足りないぐらいだ。」う〜ん。眉間に皺よってしまう。
「おれそんなに酒強くないんだけど。」
「お茶で付き合うさ。良いですね?」とハヤトが言う。
「一人で飲みたく無いのでね。」一人で飲んだ方がよさそうだけどな。
何か投げやりな雰囲気が、これで人前に出るのはどうかな?
会場に戻るともう半分死んでいるし。ちょうど良いか。
「酒くさ〜。片付け大変そう。」余りの惨状にハヤトは頭を抱えている。
「そういえば途中で寝ていた連中がいたような。」
「メカニックじゃないか?さっき声掛けられたから。」
「場所変えますか?私の部屋ででも。」「…そうだな。」
「じゃ適当に飲み物とおつまみもってこ。」
「アムロさっきと違って乗りが良いじゃないか。」
作品名:intermission 作家名:ぼの