intermission
「おれはこう言う無茶なの割りと好きなんだ。楽しそうで良いじゃないか」「潰れている連中は楽しそうだな。」
「明日掃除させたり、甲板走らせれば酒抜けるだろう?それとも今から叩き起こすか?」
「叩き起こしたいのはやまやまだが。寝せた方が良いだろう。しかしこれは嵌めはずしすぎだ。」
「まあ非番の連中だけだから。お小言は正気に返ってからで良いだろ。」
「この調子で明日大丈夫ですか?」「大丈夫だよおれが付いているから。」にっこり。
疑わしそうに「もう酔っているのか?」と言われる。
「そうかもね。」「アムロきみはこれ」ハヤトに薬と水を渡される。
「はいはい。」信用無いなあ。
「仲良いんですね。」ボソッと言われる。
「一応昔馴染みだし、おれ嫌われていたけど。」アムロは呑気に答える。
「嫌われていたって?」面白がって聞いてくる。
「親父が軍属だったし、フラウに面倒掛けていたから。まこっちも機械いじりに熱中していたから回りのこと気にしてなかったけど。」
懐かしいな。
「そう。始終フラウんとこに世話掛けて、ほっといたら学校も行かない食事もしない風呂も入らない。あの頃フラウはきみにかかり切りだった。」
「そうかも。あのころはそれが当たり前だと思っていたから。平和だったなあ。今だと「家」って言うとホワイトベースとフラウ・ボウを思い出すよ。」
「人の嫁さんをか?」
「良いじゃないか子供の頃の話しだし。思い出すのはあの頃のフラウで今のフラウじゃないんだからさ。」
「それでも複雑だ。」「割りと焼きもち?」「当たり前だ」ふ〜ん?
何か面白くない…。二人仲良く話しているのを見ていると、手持ち無沙汰でつい杯を重ねる。
何かどよ〜んとしたプレッシャーを感じて眼を向けると。
「うっ…」酔っ払いが一丁上がり。目が据わっているぞ。
「クワトロ大尉?」「これ全部飲んだのか?」確か半分はあつたはず。
「冗談じゃない。」薬じゃ間に合わないぞ。
「…これぐらいなんとも無い。」斜に構えて言わないで欲しい。
「幾ら人種的にアルコール強いって言っても飲みすぎだ。」と水を渡す。
「アムロこれも。」ハヤトが薬をくれる。
「はい。これも飲んで。」「君は何でもなさそうだな。」
「おれは飲んでないから。」「ではこれでも飲みたまえ。」と飲みかけのコップを押し付けてくる。
絡まれています…。「私の酒が飲めないと?」ああ典型的な酔っ払いのセリフだ…。
「飲むから。あなたはこれ飲めよ。」しょうがない、コップをあおる。
ストレートで飲むなよ。う〜顔しかめてしまう。きっつい。のど焼ける。
「アムロ」え?顎を捕まれぐいっと寄せられる。なに?口をふさがれ何か流し込まれる。
飲んじゃった…。何考えているんだ…。脱力。
「おれに飲ませてどうするんだよ…。」ああ!もう!塩水飲ませたろか!
「代わりに宇宙に上がってくれ。」酔っ払い。腕を掴んで離してくれない。
「無理です。俺はこっちでやる事あるんだし。あなただってやる事一杯あるだろう。」
「気が進まない。」赤い彗星ともあろうものが、今更見世物になりたく無いとか?
「役回りだろ。どの道あなたは目立つんだし。似合うよ。」
「アムロ。君が手伝ってくれたら。」
「カミーユがいるじゃないか。今のおれよりずっ〜と役に立つぞ。」いや。本当。
「カミーユか…。」なにかうつろな顔になったと思ったら、腕を掴む力が抜けてゆく。
…寝てしまった様だ。はあ〜。
「ハヤトこれどうする?」酔っ払いから腕をはずしてたずねる。
「おれはブリッジに上がるからこのまま寝かせておいてくれ。」お疲れさん。
「薬飲んで無いぞ。人に飲ませてくれたからな。」「飲ませておいてくれ。」
「おれがか?まあいいけどね。」コップに水と薬。とりあえず起こしてみる。
「クアトロ大尉。起きてください。」ゆすってみる。しつこくゆすってみる。起きない。
「ハヤト、水かけて良い?」「駄目だ。」ちえっ。
「じゃ手を貸してくれ。ベッドに移そう。重くて一人じゃ無理。」
「そっち持って。」「よっと。」重いぞ〜。取り敢えずベッドに移す。
「良く鍛えているよな。さすが軍人。」「アムロきみは少し鍛えろよ。」
「一応暇見て走っているんだけど時間無くて。それよりどうする眼覚ましそうに無いが。」
「寝かしておけば大丈夫だろう。きみも部屋に戻って休め。」
「う〜ん、一人にしておくのも気になるし、しばらくここに居るよ。ソファで休むから。」
「二人きりで大丈夫か?」「なにが?気にしすぎだと言ったのはハヤトじゃないか。」
今更何も無いだろう。
「また絡まれたらどうする?」「殴るけど。」なんだよ頭抱え無くても良いじゃないか。
「穏便にしてくれ。カミーユじゃあるまいし。」殺しあうのに比べれば穏便だと思うがさすがに言えない。
シャアと生身でやりあつたのを知っているにはセイラさんぐらいだ。
「どうにかなるだろ。」「護身術は習わなかったのか。」
「受身ぐらいかな?射撃の腕は自慢できるよ。」「撃ってどうする。」
ジョークだってば。
がっしり両手で肩を押さえられ「明日から護身術習え。いやおれが鍛えてやる。」「そりゃどうも。」
じっと睨まれたまま「おまえは部屋に帰れ。」「でも…。」
「殴り合いにでもなられたら困る。」
「クワトロ大尉は殴ったりしないと思うが。それじゃ弱いものいじめで、」
「すぐ寝ろ。艦長命令だ。」ほらでろと追い立てられる。気になるけど仕方なく
「わかった。お休み。」う〜ん。伸びをして肩をほぐしながら「ま。いいか」寝よ。
アムロは大人しく部屋に戻ったようだ。おれもブリッジに行かなくては。
「クアトロ大尉ここで寝てもいいですが薬は飲んでください。」起き上がる気配がして
「いや。大人しく自分の部屋で休むよ。」サイドテーブルのコップを口にしている。
「良く分かったな。」狸寝入りのことだろう。
「水掛けられた方が良かったですか?」苦笑いしながら「そうだな。頭冷えたかもしれないな。」「らしくないんですね。」
「誰にでも悩みはある…」憂いを含んだ横顔を見せる。何をとは言わない。聞くのもはばかられる。
しかしこの状態のクワトロ大尉とアムロを一緒にさせたくなかったのでさつさとアムロを部屋に帰した。見え見えだったかな。
「そうですね。」クワトロ大尉がじっと見ながら「私がアムロに何かしそうに見えるのか?」
と聞いてきた。溜息をつきながら「今の大尉はそう見えます。妻が心配するのでアムロに何かあっては困るんです。」
「カバラの為ではなくて?」苦笑しながら尋ねてくる。
「この場合は違います。」
「そうか…、ホワイトベースは良い船だったようだな。では失礼する。」
「おやすみなさい。」アルコールなんか入っていませんと言うように出て行く。はあ〜。
やはり迫力ある。居なくなると密度が変わるような気が…あれ?じ〜…。無い?
次の日戦闘に追われるように宇宙に帰っていつた。
「行ったな。」「ああ、実はなアムロ、言い難いんだが。」
「何?」「昨日のカメラどうも大尉が持って行ったようなんだ。」
「は?」「確認している暇無くて、アムロ?」
作品名:intermission 作家名:ぼの