FF7ヴィンセントのお話
「あなた、狂っている・・・お願いだから、彼だけは・・・やめて・・・」
ルクレッツィアの声がかすれる。
「相変わらずだな、ルクレッツィア。そんなにこの男が愛しいか?だがな、よく考えて見ろ、お前だったらわかるだろう? 至近距離から2発撃ち抜いた。その傷、その容態、このままで助かると思うか?」
絶望的だった。ヴィンセントに残された道は宝条の被験体となるか、死か、2つに1つであった。いずれにしても彼はこの世からいなくなるのだろう・・・そのことをはっきりと思い知らされたルクレッツィアはそこに無造作に置かれていたヴィンセントのホルスターから彼が愛用していた銃、デスペナルティーを引き抜き、さらに実験台に転がっていたアンプル菅を1つ握り締めて、魂の抜け殻のように部屋を後にした。
(ふ・・、その銃はそいつの形見に持って行くがいい・・。)
そのとき宝条は彼女が握っていたアンプル管の方には気がつかなかった。
作品名:FF7ヴィンセントのお話 作家名:絢翔