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りりなの midnight Circus

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 いつもなら、不器用なアリシアはエリオンの助けを借りて報告書を作っていたのだが、その日ばかりはその助力を得られずこんな時間までかかってしまった。
 それでも、最後の最後にエルンストと二人きりになれる事が出来たのだが、アリシアはそのチャンスをフイにしてしまった。
「う……う……う……、うわぁぁぁぁぁーーーーん」
 アリシアは、エリオンの胸に抱かれ、何年かぶりになる慟哭を上げた。

***

 業務終了後、自分の部屋へ出頭せよ。そういったなのはは結局無言で、報告書を仕上げると他の隊員の見守る中無言で立ち去っていった。
 そして、エルンストは一度自室に引き上げ、出頭準備を整えてからなのはの私室の前に立っていた。
 少しだけ緊張する。エルンストは、一度だけ息を吸い、吐き出すとインターフォンを一度だけならした。
「入って」
 簡素なその声は、いい知れない決意を醸しだし、エルンストはいよいよ覚悟を胸の内に収め扉を開いた。
「エルンスト・カーネル一等陸士、到着いたしました」
 普段なら敬礼はいいと言って笑顔を浮かべる彼女も、この時ばかりを冷たい瞳で彼を見つめるだけだった。
「ご苦労様。いきなり呼び出してごめん。ヴィータちゃんもすぐ来るから少しだけ待って」
 なのははそれだけ告げると、チェアを回して彼に背中を向けた。
「は!」
 エルンストはそのまま安めの姿勢で立ち、もう一人の来客を待った。
 暫くも待たないうちにヴィータが姿を見せ、ベッドの側の椅子に腰を下ろし、足と腕を組んでエルンストをにらみつけた。
「さて、カーネル一士。ここに呼ばれた理由はもう分かってるよね」
 なのははヴィータを一瞥だけしてから立ち上がり、鋭い目線でエルンストをにらみつけた。
「いいえ」
 エルンストは、今し方なのはが部屋の監視を溶いたことに気がついていた。つまりここで話されることは口外無用、なのはとヴィータはエルンストが何を言ってもそれを絶対に他人に漏らしたりはしないと、暗に確約していた。
 その二人は信用できる。しかし、エルンストの腹は決まっていた。
「あたし達は、お前が単なる観測士(スポッター)じゃねぇことを知ってる。おそらく、超一流の狙撃手(スナイパー)だってこともな。そして、あたし等はあの事件はお前が解決したと推測した。それに関しては」
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪