りりなの midnight Circus
「俺は、ミッド・クラスターでやるべきことがある。レイリア・フォート特務捜査官。現場の指揮と俺との連絡役はお前に一任する」
レイリアは、「了解」と答えた。
「それにしても、地球か。もう、ずいぶん帰ってないな」
行く場所、地球の出身であるなのはは久しくあってない家族や親友の顔を思い出し、そっとほほえんだ。
「今回はあってる暇なんてねぇかもしれねぇぞ」
ヴィータはそういうが、やはり自分の主であり親友のはやての故郷である地球を思うとうれしくなるようだ。
「本山美由紀艦長とはすでに話が付いている。到着は一週間後。各人、万全の状態にしておけ。以上、質問は?」
ベルディナの問いかけにエルンストは一つだけ確認しておくこととした。
「俺は今、武器を持っていない。それに関しては何か支給されるのか?」
そう、今彼のデバイスの三つはミッド・チルダにあるはずだった。デバイスがなければ彼には戦う手段はない。
ならば、自分は戦力外なのかと思っていると、エリオンが口を出した。
「エルンストのデバイスはちゃんと持ち出しておきました。今は、アリスが持っています」
「そうか、ならば後で渡してくれ」
ほかに質問が出ない様子だったので、ベルディナは解散を命じた。
「ああ、それと。本山艦長からの好意で、ここの戦闘シミュレーターを自由に使ってもよいとのことだ。ミッド・チルダのものとは幾分勝手は違うだろうが、かなり高性能のものが搭載されているはずだ。各自それを念頭に置いておくこと」
最後にベルディナはそういうと、飲み終わった紅茶を置き、すぐに食堂を出ようとした。
「ブルーネス一佐。少しよろしいですか?」
立ち去ろうとするベルディナをなのはは止めた。
「何だ?」
「一佐がここを出立するまでに、一度私と模擬戦をしてほしいのですが」
ベルディナは少しだけ考えた。果たしてそれだけの時間的余裕があるのか。しかし、エース・オブ・エースである彼女の能力にはベルディナも興味があった。
「いいだろう。明日の昼食後三〇分だけなら時間が空く」
「ありがとうございます、一佐」
「俺も楽しみにしているよ、それと、俺のことは一佐と呼ぶな。もう、俺は時空管理局の人間ではないのだからな」
「わかりました、ベルディナさん」
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪