りりなの midnight Circus
側のベンチに腰を下ろし、朱鷺守は煙草を吹かし始めると挑戦的な笑みでエルンスト達に目を向けた。
「いいですね。僕は、もちろん上司に10を賭けますよ」
レイリアはその隣に座り、指を二本掲げてニッと笑った。
「あたしは、もちろんなのはさんに5ね」
そんな二人とは離れた席に腰を下ろし、アリシアも乗り気のようで片手を広げて見せた。
「僕は……、ベルディナに10かな」
エリオンはアリシアの側に立ち、その行く末を見守った。
「あんた、そんなにもってんの? お小遣いがピンチだっていってなかった?」
弟の財布事情を知るアリシアは、少し驚いた様子だったが、エリオンは平然とした表情で、
「勝てばいいんだ。そうすれば、ピンチも解消される」
と言い放ち、アリシアは弟が意外にも勝負師だと言うことを初めて知った。
「お前等、賭け事は感心しないぜ。あたしは当然なのはに6だ」
ヴィータはベンチに座らず、その場にどかっと腰を落とした。
「エルンスト、お前は?」
朱鷺守が、手持ちの端末にそれぞれの掛け金を集計し、最後にエルンストの参加を求めた。
「俺は……高町一尉に8を賭ける」
エルンストの答えに、レイリアは満足して彼に笑みを向けた。
彼はそれを無視すると、シミュレーターに背中を預けモニターを凝視した。
朱鷺守はそれらを集約し、
「白(なのは)有利か。さて、レースの結果はどうなるかね」
と言ってにやりと笑った。
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「どうやら、あいつ等これにかこつけてかけをしているみたいだぜ」
実は外の様子を見ていたベルディナはそういってあくどい笑みを浮かべると、なのはに目を向けた。
「もう、あの子達は。後で叱っておかないと」
なのはは呆れた様子だったが、自分の方に信頼が集まっていることに少し嬉しそうな様子だった。
「まあ、掛け金の半額は没収として、残りは奴らにくれてやればいいさ。ちなみに、どっちが勝っても折半するってことでいいな?」
ベルディナは既にそこまで考えていた様子で、なのはは更に溜息をついた。
「私は要りません。私が勝ったら、掛け金は全部返却です」
ベルディナは、それはもったいない、といって、それなら是が非でも勝たなければならんな、とうそぶいた。
「さてと、連中の話し合いも一段落付いたようだ。そろそろ始めないか? 高町一尉」
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪