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りりなの midnight Circus

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 遠くから女性の話し声が聞こえる。これは、なのはとヴィータの声だった。
 敵の三人の間に緊張が走る様子をエルンストは感じることができた。やはり、暗殺を生業にする彼らも、エースの中のエースと誉れ高い彼女たちを前にすると気後れしてしまうのだろうか。
 だが、彼らはけっしてそれらに手を出そうとしなかった。
 日没まではまだ時間がある。
 エルンストは、自分に対して愚痴を言い始めた二人の会話を頭の隅で聞き取りながらゆっくりと移動を開始した。

 日没後、その前に動き回った成果としてエルンストは敵のおおよその位置をつかんでいた。
(排除が目的ではない。敵を違和感なく撤退させることが目的だ)
 レイリアと何度も何度も確認したそれをもう一度頭に刻み込み、黄昏に沈む空を見上げ、闇の到来を待った。

 広葉樹とシダ植物が生息する森は、とりわけ風の音を強く響かせる。結局日中の風は夜になってもその勢いを衰えさせることはなく、少し寒々しい空気を作り出していた。
(動いたか)
 せめてもの眠気をごまかすため、半分だけ意識を閉ざしていたエルンストはその動きに呼応してすべての意識を表へと誘った。
(右から一人。左に二人、こっちはタッグで動いているな。他には……動きなしか……)
 彼らは通信を取り合ってはいないようだ。その程度の常識は持ち合わせているようで、エルンストは安心した。
 森の中でひときわ大きな巨木に背を預けるエルンストは、右側にライフルを掲げ、それを立てた膝の上に置き、右手はグリップにその指をトリガーに添え、空いた腕は頬で固定された銃床を支えた。
(初弾装填。弾頭通常、弾速通常)
 昼頃から休むことなく広げていた【空間掌握】により【ストライク・ビューワー】は十分すぎるほどの情報を蓄えていた。
 エルンストは、その身に漂う気配を周囲の環境にどうかさせそのときを待った。
 最初の目標は、地面にはいつくばりながら周囲を油断なく観察しつつ彼へとどんどんと近づいていく。
 その先に待つものは何か、それさえも考慮せず。
(距離670。障害物なし。オールグリーン)
 狙う場所は、膝の一点。
 エルンストはそれの動きが一瞬止まったことを確認し、トリガーを引き絞った。
 音速を超えて飛翔するそれは、わずか0.3秒のごく短時間でそれにいたり、その衝撃波が生み出す甲高い音をあたりにまき散らした。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪