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りりなの midnight Circus

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 アリシアの啖呵に戦意を高める皆に、レイリアはにっこりと笑みを浮かべそれに待ったをかけた。
「なに?」
 なのはは出鼻をくじかれた不満か、レイリアの今までの行いのためか、彼を見る視線は幾分冷たい。
 嫌われたものだな、とレイリアはそれと同種の冷ややかさを持つ方々の視線を適当にいなした。
「ここで手を引いてください。この先は後には戻れない道です」
 沈(シン)とした空気が一面に張り巡らされた。
「どういうことだ?」
 朱鷺守の声は激昂を何とか押さえ込んだ雰囲気を持っていた。静かに低くはき出された声は、しかし、レイリアにおそれを抱かせるには十分で、彼は密かに冷や汗が背中をたれるのを感じた。
「まあ、最後の確認というものです。ここから先は一切の保証がもてない。死ぬ可能性の方が高い。いや、運良く生き延びられたとしても、社会的な人格はすべて殺されることになるでしょう。場合によれば時空連合に亡命していただくことにもなりかねない」
 亡命。その言葉はあまりにも重い響きを持っていた。つまり、レイリアはこれより先に進むためにはそれまでの自分をすべて捨てる覚悟をもてと言っているのだ。
「幸い、今ならまだ皆さんは僕たちに仕方なく協力しているという口実を使うことができます」
 レイリアはなのはの方を向き、
「高町なのは一尉。あなたは、娘と恋人が人質になっていることを理由に裁判所に訴えることができます。現在、高町ヴィヴィオとユーノ・スクライアを我々が保護観察に置いていますので、我々はそれを人質としているという言い訳にできるというわけです」
 なのはは息をのんだ。
「八神ヴィータ二尉も同様、八神はやて他ヴォルケンリッターの面々。双子のリーファは孤児と言うことでしたが、育ての孤児院の園長夫妻ということではどうでしょうか? 朱鷺守棋理一尉は当然ながら世界は違えども妹さんを人質に取ることもできますし。ここにはいませんが、カーティス・ボーマンも故郷のお姉様とご両親をこちらで預かっています。今なら、それらを理由に当局への言い訳にすることができる。すでにベルディナ大導師を通じて調整済みです」
 レイリアは言った。ここから先に進むにはすべてを捨てろ、しかし、今ならまだ逃げる道が用意されている。
「ちょっと待てよ、あんたとエルンストはどうなんだ?」
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪