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りりなの midnight Circus

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 朱鷺守は思いの外しっかりとした考えを帰したエリオンに感心した。
「なるほどな。お前は、行くのか? 地獄へ」
「ええ。アリスが行くなら、僕はアリスを守ります」
「よく言った。お前は俺のようになるな。守り続けろ」
 朱鷺守はそういって立ち上がった。
「七葉に茶でも入れさせよう。少し待ってな」
 立ち去ろうとする彼の背中をなのはは止めた。
「朱鷺守一尉。あなたはどうするのですか?」
「俺か? 俺がこのまま引くわけがないだろう? 社会的に死ぬ? 上等じゃねぇか、それに亡命生活ってのもなかなかクールでいいじゃねぇか。それにこっちの世界には七葉もいる。万事こともなしだ」
 朱鷺守は、まるで胸のつっかえがとれたような豪快な笑い声を上げながら障子を開き、縁側を歩いていった。
「朱鷺守は単純でいいよな。あたしはどうすっかなぁー」
 ヴィータは座布団を枕にしてごろっと横になった。天井を仰ぎ見るその表情には迷いが含まれてないようにも見えるが、それは彼女の天の邪鬼なポーカーフェイスなのかもしれない。
「ヴィータちゃんは、迷ってるの?」
 なのはは正座を崩し、横座りになってばらけたヴィータの長い髪をいじり始める。
「たぶん、迷ってないんだろうな。だけど、あたしははやての側を離れたくない。ずーっと一緒にいるって誓った騎士だからな。それを割り切るなんてできねぇよ」
 ヴィータは、ふぅ、とため息をついた。
「私も、悩んでるのかな。いっそのこと、最初から逃げ道なんて用意してくれなかったらって思うとなんだか納得ができないよ」
「あたしもそう思う。レイリアってやつは最後まで嫌な奴だな。土壇場であたしらの決意って奴を乱しやがって。あー、むかついてきた!!」
 ヴィータは、ガァっとうなり、腰で勢いをつけて立ち上がった。
「ヴィータ二尉はどこへ?」
 エリオンは客間をでようとするヴィータにその行き先を尋ねた。
「レイリアの所だ。一言ぐらい文句でもいわねぇと気が済まねぇ」
「だったら、僕も一緒に行きます。アリシアが言ったようにこれが最後の機会になるでしょうから、僕もレイリアからいろいろと聞きたいこともありますから」
 エリオンはレイリアと同じ射撃系の魔導師だ。故に、彼から最後の教えを賜る最後のチャンスだと思ったのだろう。
 ヴィータは「勝手にしな」といってさっさと廊下を歩いていく。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪