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りりなの midnight Circus

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第二十八話 エルンスト・カーネル


 落下によって流れていく抗の側面には様々な側道が穿たれていた。吹き上げる風の多くはその側道から流れてくる様子でそこが何処につながっているかを知る手だてはない。
 飛行特性の低いエルンストは、それでも落下速度を調整することはできる様子で、その速度を窒息しない程度に押さえ込むことにていっぱいだった。
 故に、彼はその側道を通って飛来する敵に注意を向けられなかった。
 彼が気づいたときにはその黒い影は彼の側まで迫っており、彼は【クリミナル・エア】を緊急展開しその一撃を何とか凌いだ。
「テメェだけは逃がさねぇ。ゆるさねぇ。腕をぶっ飛ばされたクリス、足を吹っ飛ばされたジョージ、そしてテメェに刺し殺されたシルフィーの敵だ」
 その一撃を何とか受け止め、その勢いのままに側道の一本に放り込まれたエルンストは小さくしたうちをした。
(こちらカーネル。現在、敵とエンゲージ。到着は少し遅れる模様。以上(オーバー))
 エルンストは要塞内のどこかにいるヴィータに向かってそう通信を投げ込むと、そのままの体制でライフルを構え、それを放った。

『こちらカーネル。現在、敵とエンゲージ。到着は少し遅れる模様。以上(オーバー)』
 その通信を聞いていたヴィータもまた敵に囲まれていた。広間を出た彼女たちは、それから幾分もしないうちにガジェットに囲まれ、ヴィータはそれらをすべて引き受けることで戦えない者達を先に逃がしたのだった。
 ガジェットの数は既に20を超えている。このまま時間をかけていればまだまだ群がってきそうな勢いだ。
「こっちも遅れそうだ」
 ヴィータはそう呟き、周囲に散会しつつあるそれらの一角を目指して巨槌を大きく振りかぶった。

(こいつ、強い!)
 エルンストは四方より襲いかかる魔法弾をなんとかして避けながら、彼の直接攻撃を【クリミナル・エア】で受ける。
 地球の山中では分からなかったが、どうやらこの手合いは隠密の能力が低い分、近接戦闘に関してはかなりの練度を持つ魔導師だったようだ。
 本来、姿を隠し息を潜め、相手に気づかれずにその命を刈り取るエルンストにとっては姿をさらしてしまっている今では、勝てる見込みはほとんどない。
「オラオラ、どうした? 逃げ隠れしねぇと何もできねぇのか? この臆病者」
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪