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りりなの midnight Circus

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 その相手は、どうやらただでは自分を殺さないつもりらしい。先ほどから何度も何度もその機会はあったはずが、彼はそのたびごとに最後の一撃を放たず離脱を繰り返している。
(なぶり殺しにするつもりか)
 それほど相手の憎悪は強い。おそらく、あの山中で失った相手の仲間とは相当に信頼しあっている仲だったらしい。
 それが、あのような方法であっけなく撃退され、その中の一人、おそらく彼がもっとも信頼している女性を自分が殺したから、ただでは殺してやらないと彼は思っているのだろう。
(だが、それは甘いことだ。殺せるときにやらなければ次どうなるか分からない)
 エルンストは、手合いが自分に対策を考える時間を与えていることを余裕ではなく甘さだと捉えていた。
(だが、どうする)
 エルンストは隙を見て【クリミナル・エア】の銃弾を発射するが、手合いの反応はそれを超えていた。
 相手の操る二本のナイフは、確かに朱鷺守が操るものに比べれば幾分か鋭さに欠ける。しかし、それはエルンストの足、胴、肩口に襲いかかり徐々にそれを切り取っていく。
 決して深くない傷もそれが蓄積していけば行動を制限する要因に十分変化していく。
 そして、エルンストはふとした反応の遅れから彼の脚撃を脇腹に食らい、そのまま十数メートルを吹き飛ばされ、壁にぶち当たり止まった。
(ストライク・ビューワー、解析開始)
 よくない理由により敵との距離が開いた。既に体の数カ所では骨格が軋みをあげ、それのいくらかは破砕され、亀裂が走っている。
 行動不能になったエルンストをなぶるように、彼は地面に足を下ろしその十数メートルの距離をゆっくりと歩いて来る。
 残りの距離が十メートルを切った。【ストライク・ビューワー】は先ほどまでの戦闘で収集した敵の情報の解析を終了し、エルンストに勝利の道筋を掲示した。
(敵反応速度から、その飛翔体の速度はおよそ音速の15倍が必要。できることなら秒間12発のフルオート射撃を、ほぼ近接距離にて行うことを推奨する)
 その計算結果を知り、エルンストは呆れたような笑いを浮かべた。
(クリミナル・エア。いけるか?)
 エルンストの問いかけに【クリミナル・エア】も自らのコンディションを洗い直しその答えをたたき出した。
(可能。ただし、連射は1.4秒が限界)
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪