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りりなの midnight Circus

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 あの日、アリシアに触発され、レイリアと共に考えた【クリミナル・エア】の新機構。それは、それまで彼が見向きをしなかったカートリッジシステムの運用を考慮に入れたものだった。
(カートリッジロードを確認。出力規定値をマーク。準備完了(オールグリーン))
 【クリミナル・エア】から取り外された【ストライク・ビューワー】は銃から送られてくる諸元を正しく分析し、すべての準備が整ったことを知らせた。
 エルンストは歩み寄る自らの死に向かってそれを向け、何の躊躇もなくその引き金を引き絞った。
 莫大な魔力の渦が正に暴発するかのごとく放出され、エルンストは襲いかかる力に翻弄されるようにその意識を切り取られた。

 目を覚ました彼の視界には、巨大な爆発で辺り一面が吹き飛ばされた様子の回廊が映り込んだ。その様子はエルンストを中心に周りの構造物が真球状に切り取られたかのような様子で、彼の放った魔力の凄まじさを物語るようだった。
(クリミナル・エア、状況報告)
 体中に走る痛覚(ノイズ)に頭を持って行かれそうになるが、エルンストは冷静に現状を把握することとした。
(クリミナル・エア、並びにコールド・アイズ機能停止)
 それは【ストライク・ビューワー】の報告だった。そして、彼は悟った。自らの持つデバイスがどうなっているかを。
 それは、既に残骸に過ぎなかった。優美な直線を描いていた銃身は爆発により四散し、ストック、フレーム、グリップ、そのすべてに亀裂が入り原形をとどめないほどに破砕されている。
 その爆発のあおりを受け、【コールド・アイズ】もまた機能を停止し、【ストライク・ビューワー】の報告によればいかなる処置を施したとしても修復不能だという結果がはじき出される。
「流石にカートリッジ5発は無理があったか。次は、もっと高強度に作り直さなければな」
(さよなら、俺の相棒達。静かに眠れ)
 エルンストは【クリミナル・エア】と【コールド・アイズ】に短く別れを告げ、それらを放りだした。
「ストライク・ビューワーが残っただけでも僥倖か」
 幸いなことに最後に残った【ストライク・ビューワー】には目立った損傷は確認できない。彼はそれを身に携え、再び本の道へと戻り、目的の場所へと降りていった。

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『こちらヴィータ。動力室に到達。そちらの到着を待つ』
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪