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りりなの midnight Circus

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「脱出艇を見つけたらしい。後で回収する手はずになってる。それよりも急げ、時間がない。全力でこの空域を離脱するんだ」
 ヴィータとなのは、エリオンは崩落によってまき散らせる大小様々ながれきをくぐり抜け一心不乱に飛び続けた。
 高度は既に3万メートルを超え、心なしか息も苦しい。それでもバリアジャケットに守られる自分自身の魔力を信じ彼女たちは飛び続ける。
 エルンストとの再会を確信して、彼女たちは安全な場所へと逃れつつあった。

****

 目を覚ましたエルンストはまず現状の確認を急いだ。どうやら自分は5分ほど気を失っていたらしい。
 未だ視界の戻らない暗闇の仲で、【ストライク・ビューワー】は自身の無事を証明するかのように光を放ち、彼の視界をサポートする。
 そして、見回した自分自身の周囲にエルンストはため息をつき、崩落の続くその場に座り込み節くれ立つ壁にその身を預けた。
 崩落によって大規模ながれきが積み上げられ、彼の行く手と戻る道をふさいでいた。
「ストライク・ビューワー、情報を」
 エルンストはそれを告げ、【ストライク・ビューワー】が処理した情報をすくい上げた。
(崩落により進行不可能。短艇(カッター)の機能停止を確認。状況打開策、現在検討中)
 おそらく、この状況を打開できる策は残されていないだろうとエルンストは確信していた。光を明滅させ、得られる情報と現状とを比較し未だその策を模索する【ストライク・ビューワー】に手をやり、エルンストは、もういいと告げた。
「なんと言うことはない、今まで俺が殺し、俺が死なせてきた奴らの仲間入りをするだけだ。これは、既に決められたこと。むしろ、この状況で終われるのなら本望に違いない」
 彼は静かにそう口にした。
 しかし、その後に襲いかかる感情の渦に彼は思わず頭を抱え込み立てられた膝にそれを埋め込んだ。
「死にたくない」
 さらに大きな崩落が襲いかかる。時折聞こえる爆発音は、基地に埋め込まれた自壊プログラムの遂行を物語っていた。
「俺は、まだ生きていたい」
 閃光がほとばしり、肌を焼く熱と光が彼に襲いかかる。
「こんなところで、終わりたくない……」
 膨大なエネルギーの奔流が身体を包み込むことが分かった。熱に変換されたエネルギーは次第に身体の中へと侵食していき、徐々に徐々に彼の意識を白い闇へと落とし込んでいく。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪