りりなの midnight Circus
それは、リーダーであるエルトが狙われるのは戦場では必ず起こる状況であるし、他のメンバーがどのようにして敵からリーダーを守るのかを見てみたかった部分がある。
それにしても、何故あの連中は今の時期にもなってこんなところで訓練をしているのだろうか。エルンストは少し疑問に思った。
自分のことを照らし合わせて考えてみた結果、新米であっても今の時期なら正式配備された実働部隊に所属になり、通常なら訓練はそこで行われるはずだ。それに、ここで行われているのは基礎訓練というよりも実戦訓練に近いものである。
ならば、そういった訓練はむしろ正式部隊で行われるべきなのではないかとエルンストは考えに至った。
そう思っている間にも青色の光点は次々とその光を失い、結局10分もしないうちに全ての光点が視界から消え去っていた。
(ストライク・ビューワー、コールド・アイズと情報結合。情報処理開始)
それを見計らい、エルンストはさっきまで【コールド・アイズ】が収集していた情報の全てを【ストライク・ビューワー】に送り込んだ。
それに答えるように、腕輪の形となった【ストライク・ビューワー】は一瞬だけ光を明滅させ、すぐさま情報を処理にかかった。
その処理には数秒も擁することなく、先程の戦闘結果がその詳細に至るまでまとめ上げられ、エルンストが独自に設定している戦闘評価まで終了した。
本来ならこれはリアルタイムで行っても良かったのだが、それでは隣にいる二人に自分は【コールド・アイズ】以外のデバイスも持っている事を知らせることとなる。
それは別段どうということはないのだが、機能凍結されているデバイスをさらけ出すのはエルンストにとってあまり良くないことのように感じられ、結果的に気づかれないようにそれをするしか他がなかったのだ。
【コールド・アイズ】はあくまで情報を収集する事しかできない。それを処理するには他のデバイスが必要となる。いっそのことこの二つをくっつけてしまおうかとも思ったが、それが出来る技術者はおそらくアーマード・ウェポン・デバイス社にしかいないだろうと思い断念した。
エルンストの隣でいろいろと相談し合うなのはとヴィータはエルンストの【ストライク・ビューワー】のことに気がついていないだろう。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪