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りりなの midnight Circus

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「それでは訓練を開始する。ガジェットの総数は全部で4体。それを30分以内に全て撃墜せよ。なお、君たちのモニターにはガジェットは表示されないこととした。これは相手のジャミングを受けた状態でいかに適切に目標を発見し排除できるかを試す訓練だ。ただし、ガジェットは常に君たちをモニターしていると言うことを各員心せよ」
 訓練生の4人の表情に安堵が広がるのをエルンストは感じた。その程度の訓練なら今までさんざん受けてきてなれている。それも相手はたった4体。30分も待たないうちに簡単に撃墜できると考えているのだろう。
(さて、何処までついてきてくれるか)
 エルンストは、【コールド・アイズ】をのぞき込み、【ストライク・ビューワー】のコネクトをオープンにした。
 【ストライク・ビューワー】が操るもの、それはエルンストの意識によって制御される4体のがジェットだった。エルンストが4体なら何とかなると言ったのは、機能凍結を喰らった【ストライク・ビューワー】が現状リアルタイムで操作できるガジェットの事だったのだ。
 情報結合と処理を主眼にする【ストライク・ビューワー】であれば、単純な機能しか持たない機動歩兵ガジェット程度なら造作なく操ることが出来る。そうして、命を救われた場面も何度もあった。
「では、作戦開始」
 エルンストはその言葉と共に【ストライク・ビューワー】のコントロールをオープンにした。
 ガジェットの諸元がエルンストの脳裏に入力され、それが自分の思いのままに制御されると言うことを確認するとエルンストはガジェットを個々に操作し始めた。
 訓練生の行動は素早かった。開始の合図と共に、リーダーであるエルトと情報収集と後方支援を担当するノアを残し、フロント・アタッカー(前衛攻撃担当)の二人、クラントとカリスはすぐさま散開し、ノアとの情報を双方回線で共有しつつ索敵を始める。
 彼らの交わす念話をジャックしているエルンストには、彼が非常に落ち着いているということが手に取るように分かった。
(まずは、接敵か)
 エルンストは4体のガジェットを2体ずつの2班に分け、それぞれをフロント・アタッカーへと向けた。
 二体の内片方は真っ直ぐと向かい、もう片方は不規則に迂回させる。
 二人はほぼ同時にガジェットとエンゲージした。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪