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りりなの midnight Circus

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 グローブ型のデバイスを持つカリス、剣の形をしたデバイスを持つクラントはすぐさまカートリッジをロードし真っ直ぐそれへと向かっていく。
(勢いのいい戦法だ。短期決戦を狙っているな。当然だ)
 エルンストはガジェットをすぐさま後退させ、それぞれ距離を取るように威嚇射撃を続けた。
 しかし、二人の機動力はそれを容易に回避し、エルンストのがジェットは二人の追尾を受けることとなる。相手も時折威嚇のためか射撃系の攻撃を繰り出してくるが、本来近接戦闘を得意とする彼らではその弾頭制御はお粗末なもので、【ストライク・ビューワー】がはじき出した乱数回避により全く難なく避けることが出来る。
 時に地を疾走し、空中へ舞い上がり宙返りを繰り出し、予測不能な急制動を繰り出すガジェットに二人は少々困惑し始めた。
 ガジェットは本来自動制御されることが殆どであるから、相手がまるで自分の動きに合わせそれを凌駕するマニューバを繰り出すことは彼らの常識には内のだろう。
 彼らの動きが一瞬止まった。
 エルンストは、その瞬間を逃さなかった。
 彼らがロックするガジェットはあくまでも囮、その背後に常に発見されずつかず離れず追尾していたもう一つの敵に彼らは気がつけなかった。
 突然に街角から現れたもう一体のガジェットに二人とも狼狽され、その間断ない射撃にクラントがあっけなく撃墜された。
 反射神経の高いカリスはさすがに離脱できたようだが、いまだ敵を一体も討ち取っていないまま一人の仲間を失ったことに歯ぎしりしている様子が手に取れる。
 クラントを追っていたガジェットもすぐさま目標をカリスへと移行させ、カリスは都合4体の敵に追い回される結果となった。
 カリスはすぐさま後方に待機しているエルトとノアに応援を要求した。二人は既に状況を把握していた様子で、彼の要求より前に行動を開始していた。
(一度合流させても良いが、それでは少しつたないか)
 追尾は【ストライク・ビューワー】に任せ、エルンストは徐々に接近しつつある三体の光点をみてそう思った。
(だが、個人戦の技法はある程度把握したことだ。この辺りで合流させて、団体戦の技法を確認するのも良いかもしれないな)
 エルンストはそう考え、それを【ストライク・ビューワー】に伝えた。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪