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りりなの midnight Circus

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「だったら、寮にできたカフェにでも行きましょう。たしか、あそこは。中隊が設立されたときに作られたと聞いていますから」
 確かに、なのはとヴィータはそんなところにカフェがあるなど知らなかった。そして、興味もあった。
「いいな。少し休憩がてら一杯やりたかったところだ」
 ヴィータは大賛成のようだったが、エルンストは正直そんなことはどうでもよかったらしく、特に何の意見も反論もしない。
「だったら決まりですね。早速行きましょう」
 レイリアはそういって彼女達を案内しようとした。
「フォート一士。休憩もいいが、自分の仕事をしなくてもいいのか?」
 エルンストの物言いはもっともなことだった。先ほどは彼の上司、朱鷺守から伝言を仰せつかったというだけで、それまで何かしらの業務をしていたはずだった。
 シグナムから頼まれた手前といっても、それでいいものか。
 しかし、エルンストの危惧に対してレイリアは平然な顔をして、
「大丈夫だよ、エルンスト一士。今の僕の仕事はなにせ、君達を案内することだからね。直属ではないといっても上官の命令には逆らえないさ」
 にっこりと笑ってウィンクをした。
「お前は、なかなかいい性格をしているようだ」
 レイリアのその様子にニコルの様子を思い出し、エルンストはわずかながら破顔して、少しだけほほを緩めた。
「そうだろう、君も見習うといい」
「遠慮しておく」
 なのはとヴィータはそんな二人のやり取りをみて、少し、いや、かなり驚いていた。
「エルンスト君って、あんなふうに笑えるんだ」
「ああ、そうみたいだな」
 いつの間にか肩を並べて二人の前を行くエルンストとレイリアをみて、二人はそう囁き合った。
 将来的にはいい相棒になれるかもしれない。二人のその様子からなのはとヴィータはそんなことを思っていた。
 
***********

(実際、このエピソードは必要ない。人物の紹介をしているだけだ。実際に必要になるのは、エルンストとレイリアのふれあいと、なのはとヴィータのエルンストに対する見方の変容だから。それを重視して書くべきなのだが)

作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪