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りりなの midnight Circus

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 フェイトはそれだけ告げると、モニターの電源を落とし、背中を覆い尽くす長い金髪を流しながら立ち上がった。
 そして、彼女はベッドの上に置いておいた執務官の制服のジャケットをそっと羽織り、その枕元にあるフォトスタンドを手にして柔らかい笑みを浮かべた。
 そこに映し出されているのは暖かな笑みを浮かべる自分の姿と、その隣で弾けんばかりの優しい笑顔を振りまく愛しい彼女、そして、彼女たちの腕に抱かれた愛らしい娘の姿だった。
「行ってきます、なのは、ヴィヴィオ」
 念話でも届かない距離にいる大切な二人を思いながら、フェイトは写真に写る二人にそれぞれキスを送るとそれを元に戻し、部屋を後にした。
 部屋を後にし、艦橋に戻るまでの間、フェイトは先程読み返していた手紙の内容を思い返していた。
『久しぶりに手紙を送ることになるが、元気か? 僕の方は相変わらずだ。君はそろそろ執務艦長の仕事に慣れた頃合いだと思うが、そういう時こそ一番体調に気をつけなければならないと母さんがいっていた。君はそういうところはしっかりとしているから、僕は心配していないけどね。それにしても、通常時の航海任務なんて退屈なものだろう。君はまじめだからいろいろ考えるところはあると思うけど、暇つぶしの道具はしっかりと揃えた方が良い。この際何か趣味を初めて見てはどうだろうか。僕も執務艦長の時代にいろいろと趣味が増えたものだ。まあ、長続きはしなかったけどね。なんだか書きたいことがいっぱいありすぎて上手くまとまらないな。とにかく、たまの休日ぐらい、なのはやヴィヴィオとばっかり一緒にないで、たまには家に帰ってこい。フェイトの顔が見れないっていう母さんの愚痴を聞かされるこっちのみにもなって欲しいな。それに、僕の子供達も君の会いたがっている様子だ。少しだけ考えて貰えると嬉しい。とりあえず今回はこんなところで。もしも返事を書くなら母さんに書いてやってくれ。それじゃ、僕の大切な妹フェイトへ。クロノ・ハラオウンより。追伸、なのはとヴィータがどうやら例の機動中隊に就任したらしい。またやっかいごとが起こるような予感がするから、君の方も気をつけた方が良い』
 フェイトはその文面から兄の不器用ながらも彼女を心配する様子がありありと浮かんできて、うっすらと笑みを浮かべた。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪