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りりなの midnight Circus

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 その言葉には何の意味もなかったが、その男はその声に反応するかのように体を四散させ、中に蓄えられていたものをすべて外へとさらけ出した。
 一瞬で気絶するそばの女性。
 ドラッグを取り落とし、状況を確認できなくともその武器で女を狙う男。エルンストは予定通りそれを狙い、再び引き金を引いた。
 着弾。眉間より少し下にそれた弾頭は、それでも男のすべてを吹き飛ばすには十分なエネルギーを持っていた。
 あと一人。
 エルンストは通信機を投げ出し、床に伏せる男を狙い少し待った。
 よく見ると、その男だけは武器を取り上げようとせずただ震えて床にうずくまるだけだった。
 男の両手が次第に天井へと挙げられる。
『敵、戦意喪失を確認。状況終了。直ちに武装隊の突入を』
 エルンストはまだ意識のそばにいるベルディナの感覚に対してそう短く告げると、とめていた息を吹き返し、抑制していた心臓を開放した。
 脳内物質がそれに呼応する形で一気に分泌され、彼は言い知れない恐れと戸惑い、そして圧倒的な快感を感じその場に伸びきった。
『犯人の捕縛に成功。よくやったな。見事だ』
 ベルディナの通信は遮断された。あっさりしたものだ。
 こっちが息を切らしていることもかまわず彼はさっさとどこかへ行ってしまった。
 遠くでヘリが一機飛び上がり、陸上本部へと向かっていくのが見えた。おそらく、あれに乗っているのだろう。
 一瞬狙撃してやろうかと思ったが、緊張が切れて神経にノイズが走るこの体ではこれ以上の射撃は不可能だと感じやめた。
 やはり、3000mは遠い。エルンストはそう実感し、ゆっくりと立ち上がった。
 そんな彼の通信機にひときわ高いノイズが入り、そこから何者かの声が響き渡った。
『だから、俺は反対してたんだ、畜生。レイザとホムを殺しやがって。これをつかったら絶対上手くいくって話じゃなかったのかよ』
 それは、つかまった犯人の声だった。レイザとホム。そうかそれが自分が殺した相手の名前か、とエルンストは思うと、放りだしてあった通信機を手に取るとその電源を切ろうと手を伸ばした。
『ロストロギアなんてしらねぇ、入手場所なんてしらねぇ。俺は渡されただけだ、3,4日前にリカルド・マックフォートってやつから渡されただけんだ!」
 通信機はノイズとともに遮断された。
作品名:りりなの midnight Circus 作家名:柳沢紀雪