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きくちしげか
きくちしげか
novelistID. 8592
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甘い恋などどこにもなくて

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「あ、やっぱり沖田さんって、本当は神楽ちゃんのこ、」
ぞわっ。
ぼ、ぼ、僕、野暮だったね!沖田さんの笑顔が菩薩じゃなくて般若に見えたのは気のせいだよね?!
「じゃあ、後で」
沖田さんに手を握られたけど、やっぱり神楽ちゃんのことが気になってるんだよ。うん。ぎゅっと抱きしめられたけど。
これってやっぱり神楽ちゃんの事をよろしくって、事だよね。あはははは。

神楽ちゃんと一緒にうどんを打ったり、葉っぱを貰ってきたり、タイムサービスに合わせてその他諸々をかき集めた小銭で何とか買ってきて、とりあえずうちで 用意する物は出来上がった。
ピンポーン
あ、沖田さんだ。っていうか、お誘いしておいて二人で殺気立つのはやめて欲しいな。まったく。
「はーい」
僕もちゃっかり期待はしてるんだけどね。やっぱり久しぶりのタンパク質はうれしいよ。
ガラガラ
「新八さん、今日はお招きありがとうございやす」
わー、たくさんの荷物で沖田さんの顔が見えないよ?あれ?

見えない。

白菜しか。

『おめえに期待してるのはそれじゃねえアル!!!』
銀さんと神楽ちゃんの殺気が倍になった。そうね、僕も期待してたけど。
「なんでい、無農薬、お取り寄せの貴重な白菜ですぜぃ。一個500円ですぜぃ」
それを4つも。さすが高給取り、お金の使いどころがちがう。
・・・ありがとうございます・・・

そして、沖田さんはずっと僕の隣でおかわりしてた。
「新八さん、次うどんねー」
「あ、はい」
「うめえなぁー」
「そうですか。ああ、白菜おいしいですね」
「そりゃあ良かった。ああ、ふーして下せえよ。俺猫舌なんでさぁ」
ふぅー。ため息。
今日の鍋は白かった。
前に座っていた二人も。

ちなみに今日の鍋の中身。
白菜・豆腐・白滝・白菜(あ、二回目)・うどん・えのき・ねぎ
以上。
白くなっていた二人がヤケで白菜を4個食べ尽くした所で沖田さんがそっと耳打ちしてきた。
「新八さん、今度は二人きりでどこか食べに行きやしょう。良い物食べさせてあげますぜぃ」
そう言って何か続きを言おうとした所で神楽ちゃんがいきなり跳び蹴りをしてきた。

「良い物」という響きにすごく嫌な感じがしたので、遠慮しておきます。

「リベンジだリベンジ!」
「そうネ!インリンねインリン!M字・・もがもが」
それ以上は言わせません。最早インリン知らねえ世代だっているんだよ。
「もうやめましょうよ。それより日雇いのバイトがありますからそれで」
銀さんと神楽ちゃん、二人で詰め寄ってきた!いやな予感!
「今度はちゃんとタンパク質って言え」
「ちゃんと言えよ、コノヤロウ」
他力、ここに極めり。この人達何一つ自分でやろうって気がないよ。
「嫌ですって言っても何らかの手段を講ずるわけですよね」
「分かってるなら、行ってこい。いてこまして・・ぐえっ」
神楽ちゃん大興奮で銀さんの首を。死んじゃうって。
「違うね!美人局ね!がっつりぼったくってくるネ!」
神楽ちゃんそういう言葉はきちんと使えるのね。
「分かりましたよ。タンパク質ですね」
僕もタンパク質には与りたい。
この前は沖田さんから二人でなんて言われたけど、鍋はやっぱりみんなで食べた方が良いと思う。
決して嫌な予感のせいじゃないよ。
「わかりましたよ。沖田さんが良いって言えばね。でも多分」

「へえ、またですか、そりゃあ・・・」
今度こそ拒否だ拒否。
「良いや。今度はきちんと聞いていかねえとねぇ。またダブったらいけねえや」
・・・なにがどうしてどうなったのか・・・
真選組VS万事屋って図式は崩れてしまったんでしょうか。
一番隊隊長が万事屋で鍋を囲むなんてあり得ない。
ああ、カップル誕生ってことですかね。やっぱり。
ほら、神楽ちゃんも楽しそうだったし、きっとそうだ、うん。
「何を持って行きやしょうか?」
笑顔だ。不思議な笑顔だ。
「え、は、あ、はい。その・・・」
「タンパク質ですねぃ?」
分かっていらっしゃるなら最初からそれを・・・。
「最初からそれ持って行ったら、あいつらになめられますからねぇ」
あああ、なんか笑顔がさわやかだ!分かってる、分かってやってる!さすが!泣きそうだ!
「まあ、先日のでも良いんですがねぇ。ありゃー屯所にたくさんありますから」
・・・横領か。
「いえいえ、今度はうちも白菜はきちんと買いますから。もらい物じゃなくて」
「へえ、じゃあ、今度はこっちもきちんと買いまさぁ」
認めたよ。横領。って、沖田さんがぐっと近寄ってきた。
「また、うどん食いてえなぁ」
近くで見てもきれいだなぁ。ああ、うどんね、気に入ったみたいだ。良かった。
あれ?顎とかに手をやってきて、ちょっと不思議な雰囲気になってきちゃいました・・が?
「そうねぇ食いてえなぁ、うどん、と、しんぱ・・・」
ぼこっ
ぎゃっ!
「おらおら!タンパク質よこすネ!ついでに新八から手を離すアル!」
激しすぎる応酬に手もつけられない。
あーあ、貴重なタンパク質に攻撃かけてるよ。タンパク質の摂取はもうだめかも。
「じゃあ、明日夜に伺いまさぁ」
・・・来るんだ・・・

ピンポーン

「タンパク質様のおなーりー」
自分で言ってるよ、あの人。
そして、前回より更に殺気立つ二人との間に挟まれた僕はどうすればいいんだ。
「開けろ、新八」
顎でくいっとする銀さんの仕草はどうみても悪役です。心なしか神楽ちゃんの顔つきも悪っぽく見える。
ガラガラガラ
開けました。そこには。
上等な羽織袴を着て手には桐箱が3つ。すごい沖田さんから後光が差してます。
「持ってきたか」
「へえ、もちろんでさぁ」
「タンパク質ネ」
「うるせえ、チャイナ」
「いら、いらっしゃーい」
「さあ、新八さん好きなだけ食いなせぇ。その後は俺が新八さんを食っ・・」
がらがらがらがら、がっしゃーん
貴重なタンパク質様になんてことを!!銀さんまで!

仕切り直して。
張りつめた空気が流れる中、鍋を囲んでいる。今日もやっぱり沖田さんは僕の隣だ。
ここに至るまでに激しい応酬と冷戦と交渉が繰り広げられたがそれは割愛します。
間違って神楽ちゃんに殴られた目のアザも初々しい(もう、こう言うしかない)銀さんがお玉をマイクに仕切り始めたよ。
「野菜もすっかり良い感じに火が通りました。ここでさあ、タンパク質様。お願いいたしまぁーす」
あんた、プライドっちゅーものはないのか・・・。
何やら頭に王冠のようなものを載せた沖田さんが桐の箱をパカッと。
開けま・・した?
桐箱の中には真っ赤な・・・真っ赤・・・じゃなくて茶色い・・・
「あー上からー京都から取り寄せた、がんもどき・厚揚げ・湯葉でさぁ」
「ちょちょちょ」
「なんじゃこりゃぁぁぁぁ!茶色いネ!赤くないネ!タンパク質じゃない・・」
その言葉に沖田さんが勝ち誇ったように鼻から大量の息を吐いた。
あーあ、言っちゃったよ。それを言ったら神楽ちゃんの負けだって。
「タンパク質でさぁー。はい、豆は畑のお肉ですぅー」
はぁー。

今日の鍋はカラフルだ。
白菜・白滝・エノキ・ネギ(青いところだけ)・草(多分たんぽぽ)・豆腐・がんもどき・湯葉(初めて食べたよ)・厚揚げ・うどん