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律姫 -ritsuki-
律姫 -ritsuki-
novelistID. 8669
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騒動の種は其処に有り

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耳元でこんな声を聞く竹谷といえば、たまったものではないのだが・・・当然、伊作は気付かないフリ。
真っ赤になって一切動けない竹谷を鉢谷がニヤニヤと見つめる。
竹谷がそんな鉢谷をにらんだ瞬間、入り口の扉が開いた。
伊作の手からは窓の方にいた不破へ苦無が飛ぶ。
そして竹谷の手から久々知へ飛ぶはずだった苦無は、まだ竹谷の手にあった。
「・・・なにをしている、竹谷」
文次郎に怒られる竹谷を鉢屋が笑うのをこらえた顔でみつめる。
「す、すみません・・ちょっと油断しました・・」
「実践ではその油断が命取りだ。まったく鍛錬が足らんっ」
「すみません・・」
「先輩!竹谷がぜんっぜんダメで竹谷のせいで情事らしさが半減でした。潮江先輩のお手本も見たいです」
追い討ちとばかりに鉢屋が言う。
「まあ、もともとそのつもりだったしな。では、今度は鉢屋が入り口の敵、竹谷が窓側の敵役になれ。鉢屋はいつでも好きなときに入ってきていいぞ」
といって鉢屋を教室から出し迎え撃つ姿勢を作る。
先ほどとは違い、今度は二人で動いているからか、何倍も情事に耽っている最中に見えた。
「あんっ・・もんじろ・・・やぁっ・・・おおきっ・・・・・あぁっ」
これには、淡白なほうだという自覚のある久々知と雷蔵でさえ顔を赤らめる。
しかし、鉢屋がはいってくると、二方向へほぼ同時に苦無がとんだ。
そして何事もなかったかのように、伊作は着物を直し、文次郎は授業の締めへと移った。
「では、これで授業を終わる」
「ありがとうございました」
授業の後、すぐに厠へ走らざるを得なくなった者が1名。


そして噂は当然のように、その日のうちに学園を駆け巡った。