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律姫 -ritsuki-
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騒動の種は其処に有り

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「さすが、6年生だったよね。来年あんなこと出来るようになんなきゃいけないのかー」
「もちろん、雷蔵の相手は俺だからな」
「三郎に潮江先輩みたいな攻め方できんのかよ。あれは技術いるぜー?」
「八、うるさい。お前なんて伊作先輩相手にめろめろで何も出来なかったくせに」
「う、うるせぇっ。あれはすごすぎだろ、あんな声反則だ」
二人がぎゃいぎゃい言い争う中、久々知が冷静に呟く。
「確かにスゴかったなー。俺でもあの伊作先輩で向こう2週間は抜けそう」
「兵助で2週間ってことは、八なら1ヶ月はいけるな」
「う、まあ・・そうだけど。三郎、お前だって興奮して苦無よけられなかったじゃないか」
「だって、考えてもみろ?あの善法寺伊作先輩が、潮江文次郎先輩相手に『あぁん』って言ってんだぞ?誰だって真っ白になるってもんだろ!」
「じゃあ三郎は伊作先輩でどれくらい抜けるの?」
「おれはまあ3日ってところだな。まあそんなことしなくても俺には雷蔵が・・・」
「三郎、五月蝿い」
「・・・はい」
という5年長屋での会話をうっかり聞いているものがいるとは、4人とも気がつかなかった。
当然、その人物が噂の審議を問いただしにきた食満留三郎であったことも。



5年に噂の審議を問うまでもなくなった食満留三郎は6年長屋へと向かっていた。
かなり苛々した様子で縁側を歩く。
「・・・・いくら実演っていってもなぁ・・・」
実演の授業が「しているフリ」であることくらいは留三郎も知っている。
「なんでよりによって、文次郎と・・・」
しかも、噂になるくらい、色っぽかったらしい。
しかも『あぁん』って・・・そんな声きいたこともねえ。
「あ、食満留三郎くーん。やっとみつけた」
「え?小松田さん」
「学園長が呼んでたよ」
「今ですか?」
「うん、今」
「・・・・」
「どしたの?なんか機嫌悪そうだね」
「・・・なんでもありません」
誰が見るまでもなく不機嫌になったが、学園長がお呼びとあらば仕方がないので踵を返す。
例え学園長から言いつけられた用事が「俺じゃなくったって誰でもいいだろ、そのくらい!」と思うような用事であっても、使わされるのが食満留三郎である。


学園にもどれたのはすっかり夜もふけた頃。
へろへろになって6年は組の部屋の障子を開けた。
「留三郎、遅かったな」
聞こえた声にぎょっとして振り返るとそこには立花仙蔵の姿。
「な、なんでここにいるんだっ。伊作は?」
「私がここにいるということは、伊作はい組の部屋に決まってるだろう」
「文次郎は?」
「聞くまでもなかろう」
「・・・なんでよりによって今日、部屋の交替なんてしてるんだ」
「文次郎が今日の実演講師の反省点について伊作と一晩語り合いたいというものだから、そこまで熱心に言うならばと伊作と部屋をかわってやったのだ。伊作は嫌がっていたが文次郎がどーーしてもというからな」
もちろん仙蔵の作り話であり、部屋を変えたのも仙蔵の一存だ。しかし、我を忘れ気味の留三郎がそんなことに気がつくはずもない。
「ちょっと待て、今日の実演って・・・」
「ほう、さすが耳が早いな」
「・・・行ってくる」
留三郎が拳を握っては組部屋を出た。
その顔には、文次郎ぶっ殺すと書いてある。
ずかずかと足音を立てながら、縁側を進み、い組部屋の障子をあける前に大きく息を吸った。
扉に手をかけたそのとき・・・
「・・・はぁ、はぁ・・文次郎、僕、もう無理」
「情けないぞ、伊作。そんな体力で忍がつとまるか」
「務まるよ。言っとくけど、僕が弱いんじゃなくて文次郎が強すぎるんだからね。こんなに汗かいちゃったらもう一回風呂いかなきゃいけないじゃん、どーしてくれるのさ」
留三郎の手が止まった。
その後ろで必死に笑いをこらえる仙蔵。
「なあ仙蔵、俺が人を殺しそうになったら止めてくれるか?」
「ああ、全力で止めてやる」
「頼む」
そして、カラカラと音をたてて、い組部屋の扉が空いた。
留三郎の体から発される不穏な空気が部屋の中に流れ込む。
「あ、留さん」
「伊作、文次郎、お前ら何して・・・って、え?」
「文次郎の鍛錬に付き合わされてくたくただよ。仙蔵、だから部屋かわるの嫌だっていったのに」
「・・・俺もこうなることがわかってたから嫌だと言ったはずだ」
「まあ、そのおかげで私は面白い物がみれた。まったく、お前らは期待を裏切らん」
「てめぇ・・・」
言い争いを初めるい組二人の横で、留三郎が固まっている。
「留さん、どうしたの?」
「あ、い、いや・・・なんか今日の実演、すごかったらしいって聞いて・・・」
「ああ、実演のこと、やっぱり噂になっちゃってるんだ。やっぱり文次郎の技術がすごかったから、かな?」
「誤解されるような言い方をするなっ!」
と伊作に突っ込む文次郎の言葉は留三郎の耳に入っておらず、文次郎をにらみつける。
「・・・実演の授業が、フリだけだということは俺も知ってる」
「それなら問題ないだろう」
「それでも多少は触ったり何なりするだろうがっ!しかもお前のせいで伊作がしばらく5年の慰みものだ。文次郎てめぇっ・・・表でろっ」
「だから仕方ないと言っているだろうがっ。この狭量男っ。上等だっ」
と表に出て行こうとする文次郎の首根っこを仙蔵が掴んだ。
「夜中に騒ぐな。迷惑だ。私はもう寝るから邪魔をするな」
「おい、仙蔵っ」
「留三郎、伊作と話してそれでも文次郎を殴りたかったらいつでも殴りに来い」
そういってぴしゃりと障子が閉じられた。
外に取り残されたのは二人。
「・・・留さん、部屋もどろっか」
「あ、ああ・・」
部屋に戻った二人だが、いたたまれなく、正座で向かい合わせに座っていた。
「あ、あのさ・・留さん、ごめんね?」
「・・・んで伊作が謝るんだよ」
「うーん、だって・・留さんが怒ってるから」
「怒ってない」
という留三郎だが不機嫌なのは一目瞭然である。
「俺、もう寝る」
「ちょっと待ってよ」
ついたての向こうに去ろうとする留三郎を伊作が引き止める。
「文次郎と実演の授業しに行ったこと、怒ってる?」
「別に・・・それ自体は・・」
「ってことは、それ関連?」
「・・・5年に見せたり、聞かせたりしたんだろ」
「そりゃあ、そうだけど」
「竹谷が1ヶ月はそれで抜けるって言ってた」
「うん。彼、授業中も辛そうだったからね」
「演技とはいえ、してるときの表情とか声とか・・・ほかの奴に見せて欲しくなかった・・・っていうか・・・それに、文次郎にも多少とはいえ触られたんだろ?」
「そりゃ、いくらフリっていっても多少は仕方ないから」
「・・・」
「・・・?」
「やっぱ殴ってくる」
再び怒りがこみ上げてきたのか、立ち上がった。
「ちょ、待ってよ。留さん」
後ろから留三郎に抱きついて部屋を出ようとする彼を止める。
「留さんが文次郎のこと殴りに行くなら、僕は富松のこと殴りに行かなきゃ行けなくなっちゃうよ」
「え?なんでそこで作が出て来るんだよ」
「だって、昨日の委員会のときに留さんに抱きついてた」
「そんなの・・」
「それに、保健室から去るとき見せ付けるように腕なんか組んじゃってさ」
「だから、昨日の作兵衛はなんか変だったんだって」