ティル・ナギ
「そういえば関係ないんだけど、カイトさん、すごく可愛らしいんだけど、そんな感じで軍主もされてたのー?」
ナギが本人ではなくテッドに聞いた。
「お?おお。まあな。まわりにしっかりしたヤツがいたしな。普段の交渉とか諸々も周りがしてたし。」
「えー、いいなー。」
諸々の書類などが嫌いなナギは本気で羨ましがった。
「でもこんなでも統率力っての?あったんだぜ?皆がカイトについていこうと誓ってたし、命張ってでも守ろうと思ってたな。なんかやっぱそういう素質?あんじゃね?ナギ。お前にもな。」
「え?ほんとですかー?えへ、嬉しいな。」
ナギはニッコリした。
ルックが言った。
「それにしてもカイトの話方・・・。ある意味通訳いるときあるんだけど。これも変わらずかい?」
「あーまあな・・・。もともと無口だったらしいぜ。使用人みたいな事をさせられていて、士官学校行く前は勉強すらさせてもらえなかったみたいでよ。だからな、まあ、ちょっと弱いところもあるけどな、はは。本人は気になんないみてえだから、いんじゃね?」
「でも、これでよく百何年も1人でやってこれたよね?」
ティルが言った。
皆もうんうんと頷いた。
テッドですら、確かに・・・と呟いた。
「?1人・・・ない・・・」
ええ?
カイトの言葉の意味が分からず3人はテッドを見た。
テッドも首をかしげた。
「カイト、1人じゃなかったって、どういう事だ?」
「?声、かけてくれる、人、いた、し・・・」
「ッカイトッ。お前まさかまた知らない人についていったりしてたのか!?昔あれほどダメだって言っただろ!?」
何この台詞?150歳をとおに越している大人に言うことか・・・?3人は思っていた。
「・・・ごめん、なさい。」
「また、旨いこと言われてついていったりしてたんだな!?ホントお前はーっ。」
「・・・でも、嫌な、時、相手、倒した、よ?いい人だけ・・・」
「・・・ちょっとはマシになったみたいだな・・・」
ほんと何この会話ー!?
3人はテッドを見た。テッドは気付いてため息をついた。
「あー悪りい。えーと、カイトってさ、ちょっとその辺弱くってさ、昔はよくいいもんやるからとか言われてちょっと路地に連れ込まれたりとかされてたんだよなー・・・。でよ、軍師や俺もすっげえカイトに教え込んだりしてたんだよなー。」
・・・ほんとにそれでよく軍主を務め上げ、約150年もの間無事生きてこられました・・・。
3人は遠い目になって思った。
カイトは首を傾げたまま相変わらずまんじゅうを頬張っていた。