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ティル・ナギ

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ルックは冷めた目でため息をついていた。

その後もナギとカイトには人が沢山群がってきていたが、ティル達はよほどの事がない限りは、お祭りという事もあって見逃していた。


夜になるとパーティが開かれ、大勢が飲み食いをし、ワイワイと楽しんでいた。

「何か御用でも?ご主人様?」

ナギは自分の格好にも慣れて、仲間達にふざけて遊んでいた。
女性達にはきゃあきゃあとナギ的には複雑だが喜んでもらえた。
ビクトールに言った時は豪快に笑われて背中をバンバン叩かれた。
横ではフリックがおいおい、と笑いながらも周りを警戒している。
多分二ナが現れたら脱兎の如く逃げるつもりであろう。

中にはご主人様などと言われてついつい邪な事を言ったりしたりしようと目論む輩もいたがその際は必ず、ナギの周辺にどす黒い気配が立ち上る為(勇気を出して目をやるとニッコリしつつも目が笑っていない英雄あり)、実際行動を起こす者はいなかった。

カイトは黙々と幸せそうにまんじゅうを食べていた。
心なしか作り物の筈のうさ耳がピコピコ動いている。
女性達にはその様子が愛くるしく映り、何かと話しかけたりしていたがカイトの反応はほとんど首を傾けるくらいで、何か言ってもそのたどたどしく困ったように話す仕草が可愛らしいが申し訳なく感じ、遠巻きに温かく見守るように眺める事にしたようである。
また男性達は、その様子に妙に犯罪めいた色香を感じ取り、話しかけたが最後、そのまま取り返しのつかない事をしでかしそうな自分を恐れ、同じく遠巻きにちろちろとカイトを見ていた。

テッドはといえば、中身はもはや老人を通り越して化物と言っても過言ではない年齢だったが、持って生まれた快活ぽい性格と、あまりにも少年らしい容貌に狼男の格好がとても似合っており、これまた女性受けがとても良かった。
本人はカイトの側にいたいみたいだが、とりあえず今現在は女性に囲まれて動けないでいた。

ルックは最初この場にいたが、きゃーきゃー言ってくる女性や、嫌な感じの目でジットリみてくる男に辟易し、ナギにうんざりしたように、”とりあえず約束通り参加はしたよ。僕はもう疲れた。帰らせてもらうよ。”と言ったかと思うと、すぐにその場から消えていた。

そしてティルは、ナギの側に必ずいるようにしながら、群がってくる女性達を、本人達には気付かれない程度に適当にあしらっていた。
中にはあからさまに誘ってくる大胆な女性もいたが、ニッコリ丁重にお断りしていた。それを見ていたシーナが近づいてきた。

「何してんだよティル、勿体無い。俺が変わって欲しいくらいだぜ。」
「やっぱりシーナらしいね、見境ない。ボルトとかぶっさしてないで、お前こそ狼男に化ければぴったりだったのに?」
「てゆーかお前さー、昔はそれなりに付き合ってやってなかった?後腐れなさそうな子とかさあ。」
「んー、今の僕は一筋だから。他は面倒だし、いらない。」
「うっわー、マジ勿体ねえ。つーか、お前、もう、ナギと・・・やったんか?」
「関係ないだろシーナには?てゆーかやる、やらないに関わらず僕の可愛い恋人にお前何かしてみろ、2度とこの世を拝めないようになるよ、いくらシーナでもね?」

ティルはニッコリとシーナを見た。
シーナは真っ青でだらだら汗を流しぶんぶんと首を振っていた。


パーティは大盛況の中終わりを告げた。

それぞれが楽しそうにガヤガヤと帰っていく。
カイトには、変な虫がつかぬ様、テッドが側について帰って行った。
ナギもティルも、テッド自身虫じゃね?とひそかに思っていた。

「そういえばティルはどーすんの?もう遅いし、泊まってけば?」
「ん?ああ、そうしようかと思ってさっき宿屋に確認してみたら一杯だったから。ルックももう寝てるだろうし、テッドももしかしたら邪魔になったら悪いし、今日は帰るよ。」
「ええー、今から?危ないじゃん。暗いなかあの山越える気?俺んとこ泊まればいーじゃん。ベッドも広いから2人でも十分横になれるよ。」

君が危ないと思います。
ティルは心の中で呟いた。

ナギにしてみれば、あの山を暗い中通って1人で帰って欲しくないし、純粋にティルと一緒にいたいと思っていっていた。
それに相思相愛で付き合っている訳だから、万が一何かされても、別にそれはそれで嫌じゃないという性格のナギにとって、ティルが遠慮する理由が分からない。
まさか・・・。

「・・・まさか、もう俺といるのが嫌、とか・・・?ルックやテッドさんのとこには泊まってくのに、俺とは泊まりたくないってコトだろ・・・?」

少し潤んだ目で見上げられた。猫耳メイドナギから。

「っうっ。って、え?違う、違うよ何でそうなんの?そんな訳ないでしょ?じゃ、じゃあ泊めてもらおうかな・・・?」
「おうっ。」

ナギはニッコリした。
ナギの部屋には小さい風呂場がある。風呂好きのナギが頻繁に大風呂に行かなくて済むように(邪な輩対策)と、建前では忙しいナギの為に作られたものだ。
今夜はそこでひたすら冷たいシャワーでも浴びまくろうとティルは密かに考えていた。
まずは部屋に入ったら変な妄想の元であるメイド服はとっとと着替えてもらおう。

ぶつぶつ言いながら何やら対策を考えているティルを、ナギは不思議そうに見ていた。


次の日、ぐっすり眠っているナギの横でパッと目が覚めたティルは、その瞬間思った。

つーか何で自分はこんな自制しまくってる訳?
考えれば自分達はすでに恋人同士のはずである。
だったらあんなコトやこんなコトそんなコトまで、何しまくってもいいのでは・・・?
それを自分は何をしていた?せっかく一緒のベッドで眠って、やったコトといえばおしゃべりだけ・・・?

そんな後悔しまくっているヘタレなティルの横では、ナギが幸せそうにぐっすり眠っていた。
作品名:ティル・ナギ 作家名:かなみ