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日ベラ小ネタ詰め合わせ

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願い事ひとつだけ



「たな、ばた・・・ってなんだ?」
ナターリヤは短冊をひらひらさせて本田に尋ねた。
本田は庭にある笹を見て、ふふっと微笑む。
「七夕は、7月7日、天の川の両岸にある牽牛星と織女星が年に一度の夜にだけ会えるという星を祭る行事です。もともとの発祥は王さんのおうちの風習なんですけどね。」
「年に一度しか会えないのか・・・。」
「たしか、織姫と彦星が結婚してから自分の仕事を放棄して、神様の怒りをかってしまい、離れ離れになってしまったようですよ。」
「自業自得だな。」
ナターリヤは即答で答えた。
確かに、天帝が怒ったのは彼らが仕事をさぼって遊んでいたからなのだ。
「でも、一年に一度しか会えないなんて可哀想じゃありませんか?しかも雨が降ったら会えないんですよ?」
本田は織姫と彦星に同情した。
自分ならきっと耐えられないだろう。
「・・・・そうかもしれないけど・・・。」
「私たちは、星の祭りと称して笹に願い事を書いた短冊を飾るんですよ。短冊って、機織りの布に似ているでしょう?」
机に置いてある短冊を手に取った。
「だからここに短冊があるのか。」
ナターリヤはもう一度ひらひら振った。
「でも、ひとつだけですよ。」
「なんでだ。」
「たくさんお願い事したら、なんだか効果が薄れちゃうような気がしませんか?」
「ううん・・・。」
ナターリヤは頭を抱えた。
ひとつだけの願い事なんて難しすぎる。
「書いたら笹にくくりつけてくださいね。」
「ううううう・・・・。」

**
夜。
幸い雨は降らず、こと座のベガとわし座のアルタイルは天の川を挟んできらきらと輝いていた。
時折吹く風が笹の葉を揺らして、ざああと笹を鳴らせる。
「ナターリヤさん、短冊にはなんて書いたんですか?」
「・・・お前には絶対教えない」
本田が尋ねると、ナターリヤはふいっとそっぽを向いた。
「つれない人ですねえ・・・」
「じゃあ、お前はなんて書いたんだ?」
「ナターリヤさんが教えてくれないなら私も教えません。こういうのはフェアにいかなければいけませんからね。」
本田はにこりと笑って答えた。
それを聞いてナターリヤは頬を膨らませる。
「むう・・・。」
「教える気になりました?」
「絶対やだ。誰が教えるもんか」
ナターリヤはやはりそっぽを向いたままだった。
本田はふうと溜息をついて、まあそういうことにしておきましょうかと呟いた。
「それじゃあそうめんでも食べますか?」
「・・・・・うん。」
再び吹いた風が、ざああと笹の葉を揺らした。

次の日、笹を片づけようとした本田は、同じ言葉が書かれた短冊を見て赤面した。

『ずっと一緒にいられますように。』

小さな、でも。自分たちにとっては一番の願い事。
同じ事を考えていたのか、と嬉しくなった。
「私たちは、織姫と彦星にはなれないみたいですね・・・。」
離れることなんてきっとできないだろうから。
本田はふうと一息つくと、笹を持って家の中に入っていった。
今日の仕事を、早く片付けるために。

作品名:日ベラ小ネタ詰め合わせ 作家名:ずーか