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きくちしげか
きくちしげか
novelistID. 8592
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鬼の腕

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(ここは、どこだろう)
目覚めた新八はシュッシュ、というお湯の湧く音を聞いて、一瞬あの場所にいるのではないかと錯覚した。太ももの内側に痛みが走る。首を振って辺りを見回すと、見慣れた銀髪が目に入った。壁よりかかって座り、頭をたらしてウトウトしている男を見て安堵した。
(帰ってきたんだ)
「銀さん・・・」
声をかけられた事に気づいた銀時は頭を上げると、慌てて蒲団の近くに寄った。
「新八、気がついたか」
優しい銀時の声が体に染み入るようだった。
「ここは、家?」
「そうだ」
「姉上は?」
「寝てるよ」
「神楽ちゃんは?」
「コンビニに食い物買い行かせた」
新八が弱々しく声を出す。
「ダメじゃないですか、女の子をこんな夜に歩かせちゃあ」
「あいつを襲う物好きを見てみたいよ」
そう言って銀時は伸びを一つして頭をかいた。
「神楽ちゃんは、かわいいですよ」
銀時がゆるく笑う。
「そうだな、あれも一応女の子だったな」
神楽の顔を思い浮かべると、新八は突然湧き出した感情に押しつぶされそうになった。
「僕が・・・未熟だったから・・・」
新八の瞳から涙が流れる。
「神楽ちゃんはきちんと向かい合っていた。なのに僕は・・」
「新八」
銀時が新八の額に手を当てた。
「俺は信じてたぜ。お前が助けてくれるって。あの時、お前が似蔵の腕を落とさなかったら」
新八の喉の奥から嗚咽が漏れる。
「俺は死んでた」
涙があふれて止まらなかった。
「ずっと言おうと思っていたんだ、新八」
「ありがとよ」
新八は額に置かれた手の上に自分の手を乗せ、小さく声を上げて泣いた。
作品名:鬼の腕 作家名:きくちしげか