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みとなんこ@紺
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いつもいつでも

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「・・・それはともかく、こっちはどうする?」
「やるよ」
いざデュエルとなると、さっきまでの不機嫌さはどこへやら。あっさりと即答して身体を起こした。
「そうこなくちゃ、な」
「だってボクも確かに好きだもんねー・・・確かその辺にテーブルあったよね」
相棒の視線を追って振りかえる。

・・・・・・。

いっそ規則性があるんじゃないのかと言いたくなるほど、色々なものが散乱している部屋を一通り見渡して、もう一人の遊戯は首を傾げた。
「・・・どの辺りだ?」
・・・しかも気のせいか最近ますます色んなブツが増えてるような気が・・・。
「えーっと・・・この辺、かなぁ?」
その呟きを聞いていなかったのか、色んな物が散らかり放題散らかっている部屋を更にひっくりかえして、遊戯、まずは目標その1・ちゃぶ台GET。
しかるのちに適当に確保した場所にトン、とセッティング。これで準備完了。
珍しくも緩慢な動作でクッションから這い出してきたもう一人の自分と差し向かいになって座る。
さて、とお互いデッキをシャッフルしかけた時、ふと一つ引っ掛かっていた事を思い出して遊戯は手を止めた。
「・・・そういえば、さっきの言ってた変なことって何なの?」
「ああ・・・。自分のデッキ同士でやってもあまり変化ないのもな、と思って・・・」
そこまで言うと、彼は一旦言葉を切った。
実際に見せた方が判りやすいと思ったのか、もう一人の遊戯はデッキを取り出すと鮮やかな手つきでカードをシャッフルし、ざっとテーブル(※ちゃぶ台)に一列に並べた。
うち1枚を適当に引き出すと、伏せたまま遊戯の前に置く。
一瞬、逡巡ののち、

「ブルーアイズ・ホワイトドラゴン」

トン☆

リバースのままのカードをそう呼びながら、指先で触れた。
「?」
訝しげに見上げてくる遊戯に、視線でカードを返すように促す。
「・・・?・・・・・・え!?」
返したカードは紛れもなく、世界広しといえど現在は海馬だけが所有している筈の「青眼白龍」のカード。
「どういうこと!?」
答えずに、彼はもう1枚カードを抜くと、

「トゥーン・ワールド」

トン☆

そしてそのカードを返せばそこにはやはり、M&Wの創造主たるペガサスオリジナルの筈の「トゥーン・ワールド」のカードが。
「青眼白龍」にしろ「トゥーン・ワールド」にしろ、この世界の何千種類とあるM&Wカードの中でも、レア中のレア。現在それぞれの持ち主の手にしかないはずのカードだ。
つまり・・・

「カード、自由に変えられる…の?」

「・・・見たことのある奴だけ、みたいだな。・・・ま、初めてここでデュエルした時から変だと思ってたんだが」
「そっか・・・ボク達のデッキも二つあるわけないもんね・・・」
「最初は白紙だったんじゃないか?オレたちが自分たちのカード思い浮かべながらデッキを組むから、勝手にそのカードになってた、とかな」
「ホントに何でもありだねぇ…」
あんなに遊んでたのに全然気付かなかった・・・。
「何で言ってくれなかったの?」
「オレの部屋の中とかあの状態だしな。ここじゃ大抵のことならアリなんだろうと」
「そこで納得しないでよ~・・・」
かっくり、と肩を落とす。
・・・どうしよう、もしかしてボク何か変なトコ慣れてきちゃってる?
はたから言わせてもらえれば今更なことにショックを受けているらしい相棒をよそに、もう一人の遊戯はせっせとカードを抜いては「とりあえずここではホンモノなカード」を量産している。
遊戯はじっと彼の手元のカードを見つめた。
・・・法則なんかわかるわけはないが、取り合えず願えばそのカードになる、らしい。

興味先行、一枚拝借。

そぅっと手を伸ばしてカードに触れる。

「・・・レッドアイズ・ブラックドラゴン」

トントン☆

「・・・あ。ホントだ」
「面白いだろう?」
「うん・・・ところで」
さっきから何か聞いたことあるカードが続くんだけど、キミ、何してるの?
「城之内くんのデッキ製作中」
「あ・・・!」
そういうことか。
ここでなら、本来現在の持ち主のデッキにしかないはずのカードを出すことができる。
・・・と、いうことは。
「うわ、ちょっと面白い、かも」
「たまにはこんなのも良くないか?」
「やるやる!絶対外じゃ無理だもんね。さっきのブルーアイズかしてよ。ボク、海馬くんのデッキ作ってみる!」
そう、一度は考えたことがある。

他の決闘者たちのデッキを自分で使ってみたらどうなるか。

同じデッキでも使い方はかなり変わってくるはずだ。
もう一人の自分と二人して考えに考えた自分たちのデッキ、カードを当然何よりも信じてる。だけど、やはりこういうコトの検証ともなれば・・・一枚の魔法カードの性能ひとつで一晩中討論でも何でも出来る二人だ。興味を惹かれるのも当然といえば当然だった。


カードをあらかた変化させて、最終チェックに入っていたらしい遊戯の手がふと止まる。
「・・・城之内くん、今このカード入れてたか?」
傍らからの呼びかけに、遊戯はカードを選ぶ手を止めた。
ピ、とこちらへ向けられたカードを眺めて、反芻。
「えーっと・・・、この間放課後にデュエルしたときにはまだ入ってたよ」
「同じカード何枚入れてるか、とかまでは・・・いいか。城之内くんはまだしも他のデュエリストたちのデッキ構成まではわからないしな」
それにデッキは日々変化していくもの。
それぞれの性格の、戦法の変化に合わせてカードも案外激しく入れ替わる。
「ボク達もよく入れ替えてるもんねー・・・」
「覚えてる範囲でいい、か。後は適当に想像で組むしかないな」
「そうだね・・・って、あれ?数が合わない・・・ねぇ、デッキ見せてもらったでしょ?こんな感じじゃなかった?」
ざっと視線を走らせて、
「・・・ハリケーンがサイドデッキ行きにされてたはずだ」


・・・えーっと・・・。


「・・・・・・また思い切った戦法狙ってるね・・・」
「ああ。だけどいっそその潔さにはいっそ素直に感心したぜ」
「・・・デッキってホンット性格出るんだね~・・・」
しみじみと心の底から感心したようなその呟きは取り合えず聞かないフリをしておいた。
「・・・よし、こんなものかな」
「こっちも出来たよー」
完成したデッキを手に、視線を交わしてお互いにんまり、悪戯げな笑みをみせる。

じゃ、ちょっと遊んでみよう。
ここでだけのお楽しみ。

遊びで。

・・・だけど本気で、ね。


「デュエル!」



作品名:いつもいつでも 作家名:みとなんこ@紺