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リオ・ナユ

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「ほら。ナユ。ちょっとコレ、飲みなよっ。」
「・・・飲ませてくれる?」
「・・・・・。ちょっとリオ、あんたがやりなよ。僕はごめんだよ。後でどんな目にあうか・・・特にあんたから・・・」
「・・・それより風呂にでもぶち込んだら?どうせこんな程度の量じゃ無駄でしょ?」
「リオ、酔ってる時に風呂にいれんのは危ねえんじゃね?寝るかのぼせるかとかだろうしよ?」
「ふーん、じゃあルック。僕とコレ、裏の湖に送って?そのまま落としてくれて良いよ、お前には何もしない。」
「・・・分かった。じゃあカイリ、ちょっと離れられる?」
「うーん、リオ。君剥がしてくれないかな?」

離れてくれないナユに困って、カイトがリオに言った。

「・・・おい、貴様。ちょっとこっち来なよ?」

そう言って、リオはカイリからナユを引っぺがし、そのまま小脇に抱えた。
テッドが言った。

「おい、物じゃねえんだからもっと他に、ほら、姫抱っことか、何かあるだろ?」
「めんどくさい。ルック。」
「分かった。」

リオはコップから水を含んだ。
ルックが杖をかざすと、リオとナユは目の前から消えた。

「あー、ヤバかった。ほんと、まずいよあの子。」

ホッとした様子でカイリが言った。

「うーん、でもまあ、普通のヤツなら、誘われる前にのされてるよな。」

うんうんと頷きながらテッドが続けた。

「どっちにしても、ナユにアルコールは禁止だよ・・・」

疲れた様子でルックが言った。


一方湖の中に落ちた2人。
我に返ったのかどうなのか、訳が分からず手足をバタつかせているナユをつかみ、リオは水中で口をつけた。
先程含んでいた水をそのままナユに流し入れる。
おとなしくなりされるがままでナユは水を飲む。
口をつけたまま、リオは服の前をとめてやり、抱きしめた。
その後もそのまま口づけが続いて、下手に湖の水を飲み込む事はないものの、ナユは段々苦しくなってリオの肩をどんどんと叩いた。
リオはそれにはかまわず抱きしめ口づけたまま水面へ上がっていった。

「ん・・・ン・・」

バシャッと水面に浮かび上がり、その際にようやくリオはナユから離れた。ナユは目をパチクリさせてあえいでいる。

「っはぁ・・・はぁ・・・。う・・・ん・・・あ・・・れ・・・?こ・・・こは・・・?」
「やぁ、ようやくお目覚め?」

目の前に自分と同じくびしょ濡れのリオがいた。

「め・・・ざ、め・・・?」
「貴様は酒を飲んでしまって、酔っ払ったって事だよ?」

そう言いながらリオは岸に向かって泳ぎだした。
訳が分からないままナユも後に続く。

岸に上がり、そのまま城へリオは向かった。
ナユは慌ててついていきながらリオに聞いた。

「ちょ、ちょっと訳分からないんで、もう少し説明してもらえませんか?」
「・・・出された飲み物が酒で、貴様は知らないまま一気飲みした。そしたら酔っ払って暴れだした。酔いを醒ます為に、ルックに湖へ送ってもらった。ざっとこんな感じだよ?」
「・・・それは、ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。でもなんであなたが一緒に湖に落ちてるんです?」
「貴様1人だったらそのまま浮かんでこないだろう?」

何を当たり前な事を?とその時だけ怪訝そうに振り返って、リオはそう言った。
そしてまた前を見て歩き続けた。

「まぁ、それは確かにそうですが・・・」

でもなぜあなたが付き合ってくれているんですか、と内心でナユは聞いていた。

ふと、先程口移しで水を飲ませてくれ、その後も溺れないようにか、口づけたまま抱きしめられていたような気がしたが、いやいや、と首をふる。
そして、もうこの事は考えないようにしようとナユは思った。
なんだかリオの機嫌もあまり良くなさそうだし・・・。

ナユはさっさと歩き続けているリオを追いかけた。
2人はとりあえずまず風呂に行ったらしい。
今回の件はナユ以外の4人の中でそっとしまう事となった。
そして、ナユには何があっても絶対にアルコールを飲ませないという事で珍しく一致団結したらしい。
作品名:リオ・ナユ 作家名:かなみ