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リオ・ナユ

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和議



リオが仲間?になってから数日後。

気を取り直して、今度はクスクスへ行こうとのナナミの誘いでそこに向かうナユ達。
メンバーはナユ、ナナミ、リオ、ルック、フッチにサスケである。

このメンバーになったのは、流れがある。
ナナミが先にビッキーのところに行って2人で喋っている間にナユは先に誘ったフッチ、サスケを引きつれルックのもとへ来た。
名づけて“美少年攻撃”なるものを試してもらいたいから一緒に来いとのナユの台詞を聞くなり、ルックは切り裂きをくらわす。
ナユは危なげもなくすっとそれを避けた。
フッチ達は攻撃名を聞いた時点で避難済みである。

たまたま通りかかっていたリオにそれは飛んでいく。
ふと気配に気付き、ありえない反射神経で避けるリオ。
そして真っ黒い笑みをルックに向け近寄ってきた。

「危ないじゃないかルック?」
「僕はナユに放ったんだ。それを避けたのはナユだけど?」
「誰に向けようが最終的には僕に飛んできたからね?とりあえず逝っとくかい?」
「フン・・・。ナユはスルー?」

言い合いながらお互い手を上げる。
これにはホールにいたナユを除く全員が青くなる。

「ちょっと。城壊されるとシュウがうるさいんで止めて下さい。馬鹿なコトしてないで、とっとと行きますよ。」

そう言って二人の上げかけた腕をつかみ、そのままビッキーのもとへ向かう。
それを見ていたサスケがフッチに言った。
「なんか行きたくなくなってきた。・・・あの人がリオって人?なんか流れでパーティメンバーに入っちゃったケドさ。」
「うん、あんなだけど、凄い人なんだよ?でもナユ様も今のはある意味凄かったね。さすがだなぁ」
「・・・・・。」

クスクスに到着したところで、その街の人に呼ばれた。
ついて行くと港で人だかりが出来ていた。
ナユ達がその場にあらわれたのが知れ渡ると、そこから一人の男が出てきた。

「ナユ様ですね?」

戦場で何度か顔をみている。

そう、確か、クルガンと呼ばれている将軍・・・。

ナユは軽く驚きながら思った。

「ちょっと、な、何?やる気?」

ナナミも驚きながらもナユを庇うように立ち、クルガンに挑む。

「いえ・・・」

クルガンが話し出した。

ジョウイがジル皇女と結婚したこと。
今やジョウイがハイランドの王であること。
そして、和議を申し入れたいということ。

「書状を持って参りました。ここでお渡ししてもよいのですが、正式なものとしたいので、出来ればナユ様の城でお渡ししたいのですが・・・。ご案内していただけないでしょうか。」

そして家来達の付添いの申出を断り、クルガンは1人でナユについて行くことになった。

・・・あのジョウイが結婚、ねえ・・・。
そしてここにきて、和議・・・。

歩き出しながらナユは考えていた。

「何うさんくさそうな顔して考えてる訳?貴様は。」

黙ってナユを見ていたリオが言った。

「いえ・・・別に・・・。大したコトではありませんよ。」

リオに向かって答えた後、後ろで歩いているクルガンを振り向いて言った。

「あ、そうだクルガンさん。僕達もともと用事があったんですよね。申し訳ないんですが、それに付き合っていただいても・・・?」

用事?そんなものあったっけ?同行していた(リオを除いた)皆は不思議そうな顔をした。

「ええもちろん。無理を言ってお願いしたのはこちらですから、どうぞお済ませ下さい。」
「ありがとうございます。」

ニッコリととろけるような笑顔でナユは礼を言った。


そしてその後。

チンチロリンで、ダンスでと勝負して新たな仲間を増やし、次にラタドへ向かう。
そこではあきらかにナユとは似ても似つかない偽者のせいで、クルガンまでも巻き添えをくってタコ殴りにされる。ナユは殴られる際に上手く避けて実は無傷、その他の5人は避難済み。
他にもいきなり豚などの家畜を買って引き連れて一緒に歩かされる。
クルガンは家畜と並んでうつむきながら歩く。

そうして他にも色々連れまわされた挙句ようやく城のホールへと足を踏み入れられた。
いい所だと褒めるクルガンにあまり生気が感じられない。
他のメンバーにとっては慣れた普通の事なので平然としている。

ようやく・・・と思っていたクルガンだが、その後も荷物や家畜を運ぶのを手伝わされる。
図書館や畑や牧場、レストランでは料理対決まで発生する始末。
これで終わったかと思えば、城内でまたもやチンチロリンやきこりの結び目か何だか知らないが崖登りにまでつき合わされ、最後にはフラフラになって風呂にまで一緒に入る羽目になった。

「あーいい湯だったぁ。では、行きましょうか?」
「・・・今度はどこへ・・・?」
「いやだなー、書状をいただけるんでしょう?先程すでに軍師に使いを出してますので、そろそろ広間に集まっている頃でしょう。」

天使の笑みでナユが言った。
涙目でホッとしているクルガン。
何も気付かずにナユとクルガンと一緒に歩いているナナミ。
後ろでサスケがフッチに呟いた。

「・・・あれってさー、嫌がらせじゃないの?途中までは俺も気付かなかったけどさぁ、なんかいつも以上に色んな事したような気がするんだケド・・・。」
「うーん、どうだろう・・・。まぁ向こうの将軍達には確かにナユ様だって含むところは、あるだろうけどね・・・」

2人の会話を聞きつつ、ルックがリオに言った。

「あんたはこれが分かってて、ずっとご機嫌で文句も言わず付いて来てた訳?」
「さぁ?どうかな?ふふ、ほんと、アレっておもしろいよね?見ていてあきない。」
「・・・・・。」

2階の広間に着いたら着いたで、まだ事情を知らないビクトール達にナユを捕らえた敵扱いされるクルガン。
そして、ようやく、書状はナユに手渡され、心底ホッとした様子で帰っていった。

和議は丘上会議の開かれていたミューズで、ナユとテレーズに来てもらいたいとの事だった。
皆が罠だと言った。
ナナミは、ジョウイがそんなことする筈がないと否定する。
テレーズはナユの決めた通りにすると言った。

「行きます。ジョウイにも話があるし。」

ニッコリ笑ってナユが言った。
天使の笑み。
但し一部の人間はそこに何か不遜なものを感じ青くなっていた。

話し合いが終わった後でリオがナユに聞いた。

「ジョウイって何?」
「・・・まあ、親友というか家族というか・・・大切な人?そんな感じですけど?なぜです?」
「ふーん、そう。」
「あなたは来るなといっても来そうですけど、余計な事は何もしないで下さいね?」

そう言うとナユは出発の準備をしに行った。リオはルックに言った。

「殺っちゃったほうが早いんじゃないの?」
「・・・今げんに何もするなってナユに言われてなかった?」
「えー?」

知らない者が見れば何とも抱きしめたくなるような、すねたような顔をしていたが、ルックには悪魔の顔にしか見えなかった。

アップルは乗り気だったがシュウは不安な事でもあるのか、何か考えている様子で、ナユにはチャコを連れて行くように言い、ビクトール達にも何か指示していたようだった。

道中はナユ、ナナミ、リオ、ルック、チャコそしてテレーズで向かった。
作品名:リオ・ナユ 作家名:かなみ