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リオ・ナユ

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船でコロネまで行き、そこからは徒歩でミューズを目指す。

ナナミはうれしそうに、ジョウイの結婚、休戦について話していた。

「また昔みたいに戻れるかなぁ。」
「・・・。でもほら、もうジョウイは奥さんもらちゃったんだし、昔みたいっていうのは難しいんじゃないかな。」

さとすようにナユはナナミにやさしく言った。

「そっかぁ、そうだよね。でもあのジョウイがねー?」
「・・・ほんと、あの、ジョウイが、ね?」

微笑んで言う。
ルックにはそのナユの笑みは真っ黒に見えた。
ナユはその後はチャコと子供のように騒いでいる。

一瞬だけ見せた黒さ。ルックの他にはリオもそれを見ていた。
そのリオは上機嫌でテレーズと当たり障りのない会話をしている。

一同はミューズに到着し、中に入れてもらう。
チャコはちょっと見てまわってくると言って飛び出していった。
テレーズがほうっておいても大丈夫でしょうと言い、皆でジョウストンの丘をあがって行った。
そして会議が開かれる事となった。

「ジョウイ結婚おめでとう。」

ナナミがニッコリと言った。
ナユは黙って微笑んだ。

「え、ああ。ありがとう・・・。」

そしてジョウイと横に立っている軍師レオンが話し出した。
レオンは同盟軍の全面降伏を和平の条件として挙げてきた。

「断れば、あの弓がいっせいに鳴るということかしら。」

テレーズが言った。
周りを見ればいつの間にか大勢の兵が弓を構えていた。
ナナミは驚いてジョウイを見た。
ルックはため息をついた。
リオは笑みを浮かべてジョウイを見、次にレオンを見た。
レオンはリオに気付き、一瞬目を見開いたが、その後逸らした。
ナユは相変わらず微笑んだまま。ナナミがジョウイに言った。

「どっどうして?どうして?ジョウイ?」
「ごめんナナミ・・・。ここは色々な国やらが存在しすぎるんだ・・・」

前に見た丘上会議の各都市の統一性のなさの様子を言い、ハイランドがここを一つにまとめる、とジョウイが語った。
ナナミの目には涙が浮かんでいる。
そんなナナミを見て、ずっと微笑んだままだったナユがナナミを抱き寄せる。
そしてスカーフで涙をぬぐいつつ、それとなく自然にナナミの耳を塞ぐ。
あまりに自然だったのでナナミはそれには気付かず、されるがままで、肩を震わせていた。
ナユが口を開く。

「ほんと、ジョウイはどうしちゃったのかな・・・?だいたいまず、全部殺れるよって言ってんのに聞いてくれず、嫌がる僕を無理やり滝つぼに引きずり込むし、いらないってんのに結局訳の分かんない紋章宿す羽目になっちゃうし。かといえば勝手に思いつめて僕らには何の相談もしてくれず裏切ってくれて、アナベルまで殺っちゃってさぁ。あ、あれ僕とナナミの仕業って事になっちゃったんだよね?そんなこんなの流れから僕みたいなのが同盟軍のリーダーなんてもんになる羽目になったしさー?ジョウイの行動がもとでなっちゃったようなもんだよね?なのにまともな説明もしてくれずに無責任にもその同盟軍捨てて逃げろなんて言っちゃってくれたよね?グリンヒルで。挙句の果てに王様なんかになって僕らに配下に下れ、かい?弓なんか向けさせてさぁ。ねぇ、ほんと、どうしちゃったのかなー?ジョウイったら。」

天使のような愛くるしい笑みを浮かべたままナユは静かに言った。
そして付け加えた。

「・・・おまけにナナミを、泣かせた、ね・・・?」

レオンがちらっとジョウイを見ると、平然を装ってはいるが、顔色は悪く、冷や汗をかいている。

ナユは言い終えるとスッキリした顔つきになってナナミを離し、大丈夫?とやさしく聞いている。
テレーズは何の事か分からない様子で、ただ周りの弓に気をとられている。
ルックは弓よりもナユが怖いとばかりに後ずさっていた。
リオはとても面白そうに傍観している。


その時入り口が何やら騒がしくなり、間もなくビクトール達が乱入してきた。
ピリカを連れて来ていたようで、そのピリカがジョウイに駆け寄っていった。

「ジョ・ジョウイ・お・にぃ・ちゃん・・・」

ピリカがたどたどしく話しかけた。
ジョウイは驚いて言った。

「ピリカ!!話せるようになったのかい!?」

ナユ達はこの混乱を利用し、逃げようとしていた。
レオンは慌てて兵に弓を放てと命じようとした。

「待って、待って下さい!!」

ジョウイが慌てて止める。
ピリカの前でそんな事はしたくないと言うジョウイに、それでは長引くだけですよ、とレオンは諭しながらも兵に停止命令を出した。

そしてナユ達は去って行った。
その際にジョウイはナユと目が合った。
ナユは口だけで“覚悟しなね?”と動かしニヤッと笑っていた。
また冷や汗が出るジョウイ。

家族のようにずっと親密に仲良くしてきただけに、ジョウイはナユの事はよく知っている。とても身内を大切にする反面、敵と判断した者に対しては容赦がない。
そして何よりもナナミを大事に思っているナユはジョウイの事も許さないだろう。

ナユ達が街の出入り口まで来るとチャコが、街の門を閉められないようにしてくれていた。
ピリカやチャコ。シュウはやはり何らかの想像はついていたのだろう。
無事に城へ戻って来た後、ナナミはシュウに”ピリカちゃんみたいな幼い子を利用した”とくってかかり怒ってどこかへ行ってしまった。


後でリオがナユに言った。

「やっぱりあの場で殺っちゃたら良かったんじゃない?」
「やめて下さい、この殺戮魔。てゆーか余計な事です。ジョウイの事は放っておいて下さい。直接乗り込んだり、とかホントやめて下さいよ?」

まさにハイランドに乗り込んで殺っちゃおうかなどと考えていたリオは、先手を打たれて舌打ちした。

「ふーん、大切なヤツだから何もするなってコト?」

ナユがリオを見た。
少し間があいた後、少しだけ微笑んだような表情で言った。

「・・・ジョウイは僕が殺る。ただ、それだけです。」
「ふうん、そう・・・。」

リオがニッコリ微笑んだ。
ルックは2人から視線を逸らしてあらぬ方向を見ていた。
作品名:リオ・ナユ 作家名:かなみ