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神に誓って愛します

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震えそうになる唇を精一杯持ち上げてえへへ、と笑う。
泉は早く直せよって言って、私はこつんと机に額をくっつけて、どうにかうんと頷いた。
 
 そのまま机に張り付いて一日が終わる。どうにかこうにか机から這い上がると泉を見送って私も教室を後にする。毎日沢山ベットに居座っているのに眠さが体から抜けず、どんよりとした気持ちが体を占めていた。
 今日こそは帰ってゆっくりと寝よう。そしてこのよくわからない気持ちとさよならしようと思うのだが、家に着きベットの上で寝転がる頃にはまたここ数日ずっと考えている私と泉との事にいきついて眠れなくなるのだ。
 
 ほら、今日も。
時計の針が4時を回ったのは覚えてる。今はそうでもないが夏の日が昇るのが早い時期に、泉はこの時間帯には起き出して学校へ向かい野球をしてたのね、なんて考えた事も覚えてる。瞼を閉じてしばらくすると記憶がなくなり、目覚ましの音に驚いてとび起きた。
 近頃はめっきり寒くなってきた所為か、のろのろと起きだすも手早く服を着替えて厚着をする。階段を下りて洗面所に向かうと服につかないようにバスタオルを肩から胸にかけて顔を洗い歯を磨く。化粧水と乳液を肌にすりこんだら台所へと向かい、父親の向かいに移動すると袋に入った食パンの中から二枚取り出してトースターへと放り込んだ。
「お父さん、おかわりの分焼いてもいいんだよね?」
「ああ、ありがとう」
 返事を聞きながら戸棚に閉まってある紅茶のティーパックを取り出すと、私専用のちょっとのみ口の広いマグカップへと入れお湯を注ぐ。真っ白な陶器が琥珀色に染まると沈めていたティーパックを取り出して、小さな四角い砂糖を2つコロンと投げ入れた。シュワシュワと砂糖が紅茶に溶けるのをぼんやり見ていると後ろからチン!という軽快な音が鳴ったので、私は皿を持ちトースターの前へと向う。二枚、取り出して上下に重ねるとトースターの扉を閉めて、そのまま一枚を父親の元へと運んで私はようやく椅子へと座り朝ご飯へとありついた。
 浅く塗ったバターに、母親が作ってくれたスクランブルエッグを乗せて噛り付く。さくさくとしたパンとふんわりとした卵が絶妙で美味しい。母親のそろそろ時間じゃないの?という言葉に横目で時計を確認すると、もうそろそろ出なければならない時間で、私は急に気持ちが落ちていくのを感じた。
ああ、学校いかないと。 
 トーストの半分を残して慌てて階段を駆け上がる。鞄を引っつかむと傍らに置かれた泉への誕生日プレゼントが目に入って無意識に眉を寄せた。
 
(誕生日プレゼント、か)
 
 一考するとプレゼントへと手を伸ばし引っつかんで鞄へしまいこむ。渡すにしろ、渡さないにしろとりあえず時間がないから持って行こう。
 下から母親が私を呼ぶ声がする。いまでるーと返してばたばたと階段を駆け下りた。
 
 学校はギリギリ間に合った。しかし辺りを見渡しても誰もおらず、靴を履き替えながら一人首を傾げる。よくよく考えて見ればそれは当然で、今日は土曜日で公開授業もなかった。両親が何も言わなかったところを見るとするっと忘れてたのかもしれない。私はここまで来たのに直ぐに帰るのもちょっとだけ癪だったので、用もないのに教室に向かい歩いていく。誰もいない廊下はとても静かで、いつもよりも肌寒く感じた。
 ぺたん、ぺたん、という足音が廊下に響き、よく知る場所なのにどこか知らないところへ迷い込んだかように錯覚してしまう。9組の前まで来るとかたく閉ざさられた扉へと手を伸ばしガラリと音を立て開く。案の定そこには誰もいなくて、知らず知らずのうちに緊張していたのか息を吐き出しほっとした。自分の席へと向かい鞄を置くと、教室の後ろへと向き直り泉がいつも座る机へと視線を向ける。こちらを向いて笑う泉を思い出して小さく笑った。
 
 そうだ、どうせ当日手渡せないんだから机にいれとこう。
自分の鞄へと向き直ると、出際に詰め込んだかわいく包装された小さな包みを取り出した。手に収まるぐらいの小さなそれは、泉に似合うだろうなって思って買った携帯のストラップで。いつも持ち歩かれる携帯に、私の変わりにずっと一緒にいてくれればいいななんて気持ちも少しあったりする。とんぼ玉でできていて、ターコイズブルーの鮮やかな色の中に薄い水色のハートが描かれ、白い紐とあいまってすごくかわいかった。とんぼ玉はガラスだから男の子には向かないのかもしれないけれど、壊れやすいのも私から泉に送るプレゼントにはあってると思い、これに決めた。
 包みの中では、そのストラップが試験管みたいなのに詰められて、コルクの蓋からぶらさげられているからきっと机の中に入れてたとしてもそうそう壊れる事もないだろう。そのまま泉の机の側に行くと、椅子を引いて机の中を覗き込んだ。中には数冊の教科書が入っていて、私は少し考えてから教科書を人差し指で寄せて隙間を作るとそこへプレゼントを押し込む。机の奥の奥まで突っ込んでから教科書を気持ち元に戻して、椅子をなおすと自分の席まで戻って鞄を拾い肩から提げた。別段悪いことをしたわけではないが、こうやってこっそりと隠すようにプレゼントを置いた自分に少し心苦しい。手渡して渡したい気持ちもあるが、だからといって会いに行って渡せるかといえば、限りなくNOとなってしまう。
 
 だから、これでいいんだよ。きっと。
廊下へと出て下駄箱へと向かう。やはり誰にも遭遇することはなく、下履きへとはきかえると家へ帰るための道を歩き出した――はずだったのだが、気づくとここは第2グラウンドへと続く道で。階段上から見えるグラウンドの入り口に胸が騒いで、少し震える足で一段、また一段と階段を下りる。門を潜って用水路に掛かった橋を渡ると並木道へと出て立ち止まる。道路を挟んだ向かいにあるグラウンドへの入り口からは野球部のところはまったく見えないけれど。無意識に詰めていた息を吐き出すと、駅へと続く方向へと向き直った。
 
 
「あれ?遠野?」
 再び歩き出してから数歩もいかないところで不意に投げかけられた言葉。よく聞きなれた声に足を止めて振り返る。
 
「…田島君、朝早くからお疲れ様!」
 ユニフォーム姿で額に汗を浮かべながらこちらへと走り寄ってくる田島君に笑みを浮かべてそういうと、彼はにっかりという言葉が似合う笑顔を見せておー!と応じてくれた。近くまで来ると彼は立ち止まり流れる汗を片手で拭いながら、泉?と聞いてきて、私は慌ててかぶりを振る。
 違う違う、別件なの。といったのは、土曜日なのに登校してきた恥ずかしさを隠すためで。思考のすみっこで、そうか泉に会いにいくって選択も不自然じゃないのか。でも会いに行ったとして嫌そうな顔をされたらというところまで想像して、眉を寄せた。
 
「遠野の顔、チョー変!」
 不意にあがった田島君の言葉に瞠目すると、ムッとしたような怒り顔を作って変って言うな!と言い返す。だって変な顔してたし!なんて笑って言う田島君を見ると、どうやら彼なりに気を使ってるのかなって思って話に乗っかるように田島君ヒドイ!と言って笑い返した。
 
「なあ、明日ホントにこねーの?」
 
作品名:神に誓って愛します 作家名:ank