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どうしようもない阿呆だとお互いに認識

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 そして今俺は、ひたすら変態と名高い同級生の住むマンションに向かって歩いていた。あの不揃いの三人が集まる場所といったら学校かここぐらいしか思いつかなかったのもあるが、新羅の正体不明の恋人(新羅称)と名高い『セルティ』という人物の名前がでたからでもある。アイツならいつでもその名前を口走ってそうだが『仕事から帰ってくるのがまだ先』というフレーズが頭に残っていた。
 だが憶測の域は勿論でない。いつのまにか頭にこびりついた素敵で無敵を自称する奴の電話番号を親指でおしてからしばらく待っていると、急にコール音が途切れ、電話から轟音がした。

 『ッテメェエエエエ何こんなときに電話にでてやがんだざけんじゃねぇぞノミ蟲ィイイ!!!』
 『あー、すいません。折原臨也ですがただ今取り込み中でして電話に出ることができません後ほどかけ直してくださ』
 「門田だ」

 すぅ、と電話越しにでも聞こえるぐらいに息を吸う音が聞こえて、俺は再び電話と耳を引き離した。

 『どたちぃぃいいいいいいぃいいいいいいん!!!!』
 『あぁ?!門田だと?!マジかオイ!!!』

 歓喜に満ちた叫びに思わず二人の普段のすまし顔を思い出し、ギャップにふきそうになった。その場にいなかったのが実に残念だ。口元に笑みをつくって俺は電話に話しかける。

 「か、ど、だ、だ。お前ら今何処にいるんだ?いつものやってるだけじゃないだろうな、なら俺は帰るぞ」
 『新羅の家だよ!ドタチンがこれないから俺達だけで頑張ろうってことになったのにあの変態ヘタレ自分だけ隠れてさぁほんっとアイツしねばいいのに!!』
 『新羅は殺す!あとで!殺す!!』

 ……とりあえず俺は自分の頬を叩いて現実世界にいることを確認し、それから同級生と池袋の未来を祈った。

 「……で、お前らは大丈夫なのか?何があった、っつぅか何が起こってんだそっちで?」
 『あぁ、うん、俺達は大丈夫じゃないけど身体的ダメージを受けたわけじゃないから安心して。精神的だから。別に誰かに襲われてるってわけでもないし。……襲われてるけど』
 「どっちだ」
 『とりあえず俺の口からはそれ以上は何もいえないかな。あぁおぞましい!』

 と、そのとき静雄の破壊音に紛れてバターンとドアが勢いよく開かれる音が電話の向こうでした。

 『全く君たちは好き勝手いってくれるなぁ、僕はさっき言った通りトイレにいってただけさ!それ以上俺とセルティの愛の巣を壊さないでくれよ。それに私はそこで、この、最終兵器を見つけたんだよさぁ今こそ勧善懲悪ぎやあああああああああ!!!』
 『新羅ッ!』
 『新羅ぁあああ!!』


  ブツリ


 電話が切れたと同時に俺の中の何かが切れる音がした。