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トッカータとフーガ

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「いいよ、もう。おやすみ。」

毛布にもぐりこみながらとにかくナナイさんから聞いておこうと決めながら背中向けて丸くなって寝る体勢作ってたら丸ごと抱きかかえられた。

何かまだ不安なのか?重い…。時々やたら不安になるようだがその辺の機微はおれにはさっぱりわからないので好きにさせておくしかないんだけど。


次の日ナナイさんに話を聞こうと思って様子を見ていたら秘書室の方が何か騒がしい。
何かと思ったら警備員を押しのけるようにして執務室に入ろうとしてるお年寄りが。

怪我をさせないように止めようとしてるのでなかなか騒ぎが収まらない。
ナナイさんがお話は別室で伺いますと言っても引かない。強引だなあ。
と目が合って人を指差す。

「アムロ・レイ!きさま…。」
周りの空気が止まってる。

につこり笑って
「お人違いでしょう?」

「なに?」
「本日は来客の予定はありません。お引取りください。」

「小僧…。」
動きが止まった隙に外に出てもらう。ナナイさんが廊下に出て宥めているようだけど。

この年で小僧と言われるとは思わなかったがえらく元気の良い爺様だな。
執務室に戻って
「今の誰?」
と聞くと苦虫つぶしたような顔して

「きみは知らなくて良い。」
「そう言われても面と向かってアムロ・レイと呼ばれるのは困るよ。」
それは幾らでもばっくれるけど。

「連邦軍も認めないだろうし指紋ぐらいなら変えられるけど遺伝子情報はまだどこかに残ってるぞ。」

今更おれの名が出たからってどうと言うことも無いと思うけど。
連邦軍は厄介払いが出来たと思ってるんだろうし。MSに乗るなら話は別だろうが。乗る予定は無い。
あー乗らなくてもいいから触りたいなあ。

ノックとともにナナイさんが入ってきて
「お引取り頂きました。」
「よく帰ったね。」
「お孫さんが迎えに来られましたので。」
「ふ〜ん。」

「面会のお約束を。」
「会う気は無いぞ。」
「毎日来られたらどうするのさ。」
「構うな。」

それで済むかなあ…。


案の定翌日から日参される。約束を取り付けるまで通い続ける気らしい。毎日夕方にお孫さんが迎えにくる。
妙齢の女性だ。遠目に見ても美人そう。それだけならまだしも話を聞きつけて他の人も日参するようになる。


「サンルームがサロン化していますね。」
「害があるのかい?」
「セキュリティ上聊か…。立ち入り禁止区域を設けていても守るとは限りませんがドアはロックされていますので心配はありません。とは言えあまりうろうろされても。」

「はっきり分けるか。出入りを厳しくするか…。」
「部外者は入れるな。」
「そういう訳にはいかないだろう。他にも用もないのに日参してる人がいるみたいだけど…。」

「明日から門を閉めろ。」
「だからそうはいかないって。」
オープンなイメージが大事なんだし。

「粘るなあ。」
「どうしましょう。」
「諦めて見合いしたら?」
睨まれた。

「結婚する気は無い。」
「でも向こうも簡単に諦めそうも無いよ。」
余程自慢の孫なり娘なりなんだろう。他の思惑もあるだろうが。

「片端からお見合いするとか?」
「誰がだ!」

「一人に会うと他にも会わざる終えなくなりますからねえ。」
「そんなに話が来てるのか。」
「皆さん熱心です。」
無理もないか。

「時間がもったいないか…。」
「今結婚なんかしている暇はありません。」
「そうだよねえ。」

「きみたち二人で勝手に話を進めるな。誰の結婚だ。」
「総帥のですわ。」
「うん。一大イベントになるし。みんな喜ぶよ。」

「わたしは嬉しくないぞ…。」
「冗談だよ。」
「そうです。」

「とてもそうは聞こえなかったぞ。知らないうちに式の当日になっていたりしないだろうな?」
「多分大丈夫だよ。」
「そんな時間ありません。これ以上の騒ぎにならないうちに何か手を打ったほうが良さそうですね。」

「誰かと籍だけ入れるとか?」
「アムロ…。冗談に聞こえないんだが。」

「式をしないと納得してもらえないんじゃないでしょうか。」
「そうだよねえ…。」
「いい加減にしろ。きみは私が結婚してもいいのか?」

「状況によるだろう。せざる終えない時がくるかもしれない。」
「アムロ!」
「その名で大声で呼ぶなよ。」

「きみが怒らすからだ。」
「わかった。冗談抜きでどうするか考えないと。」
「冗談?本当に冗談なのか?」

そんなに恨めしそうに見なくてもいいんじゃないのか?
でも実際結婚でもしない限りこの手の騒ぎは繰り返されるんだろうなあ。

「何か決定的な手は無いかなあ…。」
「難しいですね。」
「そうだよねえ…。当事者の意向は?」
「聞いてくれるのか?」
それは何とも言えない。笑って誤魔化す。

「する気は無い。」
「そうは言っても政権の安定を印象付けるイベントになるんだよね…。」

じっと見てたかと思うと
「わたしが結婚したらきみどうする気だ。」

「お役ごめんだろ?どこかに行くよ。」
「絶対結婚なんかしないぞ。」
そんな力込めて言わなくても…先のことはわからないのに。

「中途半端にされても相手の方に失礼ですよ。」
「本人納得しての方がいいに決まってるけど。トップが結婚しないままなのも変だよ。ある意味人格が疑われる。」
「そのほうが失礼だろう。」
「そうなんだけどねえ。」

「政治手腕で評価されるならともかく。」
「誰としても釣り合わないとか言われるだろうし。万民の納得する相手は無理だろうな。」
花嫁になる人は大変だ。

「何故そんなに結婚させたがるんだ。」
「単に騒ぎを収めたいだけだよ。結婚したら収まるかなと思って。」
つい机を指で叩いてしまう。

「アムロ…。きみ怒っているのか?」
溜息ついて
「実はさっき廊下で鉢合わせして文句言われたんだよ。おれの所為で結婚しないんだろうって…。」
「何を言われた。」
「男妾。」
言い捨てられた。

一寸調べれば一日中側にいるのはすぐわかるし人の口に戸は立てられない。にしても今時そんな言葉で言われるとはなあ。
仕事してお給料もらってるのに。そう言う問題でもないが。

バキ!という音と共に
「あのくそ爺共…。」
気持ちは良くわかるけど…。何壊したんだ?

「…言葉遣いには気をつけてください。」
睨まれた。
唸るように「たたき出せ!」と言うが
「そうもいかないよ。」

顔合わせるたびに何やかにや言われると鬱陶しいし落ち込むかもしれないがそれとこれは別。
「これ以上好き勝手やられては我慢できん。」
年寄りとおばさんは遠慮がないか…。

「そうは言ってもあなたが結婚でもしないと納まらなさそうなんだけど…。」
「だから結婚はしないと言っているだろう。」
「それではこの騒ぎの始末は任せるよ。おれが顔出すと余計揉めるから。」
とにかくできる限り顔合わさないようにして静観してよう。


そのうち毎日来ても何の収穫も無い所為かお客さん同士で口論を始めた。
さすがに年の所為か外聞が悪いからか手は出さなかったようだがそんな騒ぎを起こされては堪ったもんじゃない。
これ幸いと応接室をもっと遠い部屋に移したが懲りずに毎日来る。そう簡単に諦める訳がないか…凄いなあ。
作品名:トッカータとフーガ 作家名:ぼの