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トッカータとフーガ

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ベールを上げられてじつと目が合う。あんまり嬉しそうなので呆れて笑うしかない気分になる。

「誓いのキスを。」
化粧に恐れをなしたのか大人しく軽くキスをする。あまり顔近づけると人に化粧がつきそうで怖いこちらとしてはほっとする。

後は確か正面玄関から出て車に乗って家に帰るんだったな…。大人しく手を携えられて玄関に向かって歩く。
内心歩き辛い靴にもドレスにも嫌気が差している。

「もう少し笑えないのか。」
と囁かれて顔にひび入りそうだなと思いながら気持ち微笑むとやつの足が止まった。
つられて転びそうになる。慌てて支えてくれたが急に止まらないでほしい。

一寸睨むと悪戯っぽく笑って人を抱きかかえさっさと歩き出す。
重いのに大丈夫かな…仕方なく手を回して軽くしがみついてそのまま外へ出るといつの間にか人が一杯。カメラも一杯。
何か叫んでる人もいるようだがよく聞き取れない。驚いて目を見開くとつけ睫が重い…。

「ちょっとやばくない?」こっそり言うと
「まあ殺気立っているわけじゃないし慌てずゆっくり車に向うんだ。」
下ろしてもらってゆっくり車に向かう。急ぐと転ぶ。早く帰りたいのに…。

何か色々言われたようだが何も答えず車に乗りこみ教会を後にした。終わった。終わった。凄い手抜きだ。

「早く顔洗いたいです。」
「まだです。帰って着替えて月に向かいます。向こうに行った事実が必要ですので。」
「どう言う風に死ぬの?」
「旅行中の事故と言うことで。」

月で事故?何の?家に着くと周りに人が集まってる。
「みんな暇だな。」
「一目見ようと集まって来るのは予想されたことです。」

でも実際こんなに来るとは。オープンカーに乗りながら手を振りながらにこやかに笑ってくださいと言われないだけ良いか…。
車を降りるとまたカメラの音。一生分の写真を撮られた様な気がする。まあ、おれじゃないから良いか。

ドレス脱ぐ前に記念の写真とか言われて暫くじっと我慢。メイクさん達の労作だから大人しく立って居た。
シャアも付き合わされて二人で何枚も撮られる。足が痛くて立ってるのが辛い。

「とんだ意地っ張りだな。」
と言って人を抱き上げて椅子に座らせ靴を脱がせてくれる。
「何か冷やすものを。いい加減にしないとアムロが歩けなくなる。」

足を休ませてからやっとドレスを脱がせてもらった。普通のスーツに着替えてほっとする。
「靴を履けそうにないよ。」
酷い靴擦れだ。

「抱いて移動しようか?」
「運動靴でも履くぞ。」
「何か見繕います。」

化粧や髪のセットが出来ないのでメイクさんは旅の同行者。ナナイさんは居残りで他に護衛が一人。

「騒ぎになったら暫く帰ってこなくて良いですから。避難場所は迎えの人が連れて行ってくれます。
のんびりして下さい。総帥はすぐお戻りください。」
「私ものんびりしたいぞ。」
「たまには一人にしてあげないと。」

「わたしは二人がいいんだが。」
にっこりして
「離れた方が悲嘆にくれる役を無理無くこなせて頂けるでしょう。今までの苦労が水の泡になるのは困ります。」怖いぞ。

「大尉は迎えが行くまで休暇です。」
「そりゃどうも。」
「結婚休暇ね。」それはいや。


月に行くのも久しぶり。
「こないだあなたが逃げ出したとき以来か。」
「このままどこかに連れて逃げたい気分だ。」
「だーめ。」

それじゃ茶番の意味が無い。
「そんな事言われるとこっちもアナハイムに行きたくなるぞ。」
「わかった。諦める。」

即答される。そんなにおれがMSに近寄るのが嫌なのか。
「そうして。ナナイさんが怖いし。」
入港するとここでもカメラがいる。しつこい。

「宇宙的ニュースですから。」
「そうだろうけど…。」
よく調べてるな。
「こんなに人目があるのに事故を起きた事に出きるのか?」
「色々やり方はあるから何とかなるだろうが。ちょっと厄介か。」

早く終わらせて女装しなくて良いようになりたいのに…。何時も見られるのはある程度慣れてるけど気が休まらないので早々にホテルに入る。
セキュリティの関係で最上階貸切。夜は正装とか言われてうんざり。

「協力者に渡りを付ける手筈になっていますので出てくださいという伝言預かっていますけど。」
レストランに入ると一瞬ざわめいて注目される。チラッと見たところ知ってる顔は無いが。大人しく談笑しながら食事をする。
流石に話しかけてくるつわものは居ない。

こっそり「協力者って誰なんだよ。」
「出る頃に来る気のようだな…。それよりもう少し食べなさい。」
「食欲ない。」

「では部屋に帰ったらなにか食べさせてあげよう。」
優しげに言うけど目が笑ってないんだけど。無理やり食べさせる気だな。

「じゃあデザートなら。」
カロリーの高そうなものを選んでくれる。自分はお酒を追加してる。
「ゆっくり食べなさい。」

食べ終わるまで待ってる体制だ。はいはい食べればいいんだろう。
気持ち悪くならないように休み休み食べてるとお酒をまた頼んでる。
「飲みすぎじゃないの?」

にっこり笑って手を握り
「夜に差し障るほどじゃない。」
差し障って堪るか。と言うより続きの部屋に人が居るのにやる気無いぞ。

「そういう冗談は好きじゃ…。」
と手を引こうとすると言い終らないうちにグラスが倒れる。うわっ。
飛びのこうとしたら手を押さえられて動けない胸元にはねて染みを着けた。
すかさず染みを落とすために化粧室に連れ込まれる。

「お酒の染みは抜き辛いんです。」
と一生懸命染みを落とそうとするのを見てぼーっとしてると人影が射す。

「お久しぶり。」
「迎えってあなただったんですか。セーラさん…」
顔が引きつる。
「似合うわよ。」

にっこり言われると真っ赤になるのが自分でもわかる。え〜ん…。

「まったくあなた方は人使いが荒いわねえ。」
「すみません…。」
髪に軽くふれられて
「暫くうちでのんびりするといいわよ。じゃあその時にまた。」

席に戻ると「逢ったか?」と聞かれ無言で睨む。
どうせセーラさんにはばれてるとは思ったけど今は逢いたくなかった。
溜息。


さっさと終わらせて女装を止めたい俺としては付いて歩くカメラ連中が邪魔でイラついてきた。もう待ってられない。

さて幾らボーっとしてても狙われてるのはわかる。相変わらず殺せばすむと思われてるんだな。
この際だからそれを利用させてもらおう。メイクさんに頼んで下着に加工してもらう。重いけど。
シャアに言うと反対されるから内緒だ。

どこに行くにもおまけがついて回るのでわざと隙を作るのに聊か時間が掛かったがはぐれてみる。花に身を寄せるふりをして姿勢を低くする。
案の定狙ってきた。微妙に避けながらわざと当たると衝撃で倒れこむ。思ったより痛い…。

衝撃が伝わってのかやつがすぐ見つけてくれて抱き起こされる。指で口を押さえてひたすら死んだ振り。
防弾の上に血糊を仕込んでもらってたので遠目には誤魔化せたと思うんだけど…近くで見ると自分の血じゃないのはすぐわかる。

かなり怒っているようだがこの機を逃すわけが無くすぐ車に乗せられて息の掛かっている病院に連れて行かれ…後はお任せしてセーラさんに月から連れ出してもらう。
作品名:トッカータとフーガ 作家名:ぼの