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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
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【完全読み切り】夓

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 正直、今回の、自分からデートに誘えなかったことは、はっきりいって残念だった。彼女としてみたら、シャモルドを使わせる前に言えよって気分だったと思う。…というか、今までもこんなことがあったような気がする。何でだろう。僕は彼女を誘うことができない。何処か行こう、とかいうことが全くできない。メールも電話も手軽にできるこの時代に、大事なことは何にも伝えられない。表だけの、何の意味もないトークだけだ。

 正直、他の人がうらやましかった。
 レッド先輩は何も語らずとも大事なことをイエローさんに伝えられる。
 同い年のヒビキくんはコトネちゃんにいつでも好き好きアピールができる。
 後輩のジュンくんは自分の彼女に熱く接することができる。

 彼らは幼馴染とかだからそういうことがしやすいのだろうか。よくよく考えてみれば、僕とハルカちゃんは互いに相手のことを深くは知らない。
 …まあ、自分の過去を語りたくはないけれど。昔はいじめられっ子だった。父親が強いことがあって、自分が弱いことがからかわれていたのだ。だからと言って作戦勝ちすれば、相手に卑怯といわれて、結局何も変わらない。

 そんな過去があるからだろうか、いじめられたくないとか嫌われたくないとか、そういう気持ちで人と接していた。誰にも嫌われたくない。その気持ちが強く強く、そして深く迫っていた。深く、根を張っていた。

 夏の本字に当たる漢字は暑苦しい書き方をする。

 …僕も暑苦しいのかもしれない。少なくとも、冰のようにひんやりした感じはないっていうか。

 ……なんて言うか……僕ってあのコのボーイフレンドの資格ってあるんだろうか。

 ふとポケギアを取り出す。

 「もしもし、コウキくん?今時間取れるかな?」
 すると、電話の相手は、こう切り返す。
 「こっちはずっと暇ですよ。知っているでしょう?」

 コウキくんは、マイっていう彼女がいる。彼らは別に幼馴染とかじゃないから、もしかしたら分かってくれるかもしれない。
 「コウキくん」
 「彼女となんかありました?」
 「…さすがはギラティナの血を持って生まれた者、って感じだね」
 「関係ないですよ」
 「…とにかく」

 僕は自分の思っていることをとにかくぶちまけた。
 「あなたのような方がそんなことで悩むとはね…」
 「別に関係ないでしょ」
 「…そうですね」